2018年に古物商許可を取得してから6年目、今回始めて警察からの営業所立ち入り調査の連絡が来ました。
古物商許可を取得すると、定期的に警察から営業所(登録した場所)に立ち入り調査が入ります。
立ち入り調査自体は古物商許可発行時に説明されるので知っている方も多いと思いますが、ネットで検索しても実際に立ち入り調査を受けた体験談や情報は少ないです。
今回せっかく立ち入り調査を受けたので、今後古物商許可を取る方、立ち入り調査を受ける方のために一連の流れや当日何をチェックされたかといった情報を記事にしました。
ただし、あくまでも僕のケースです。
皆さんご存じだと思いますが、古物関連って「県による」「管轄による」「担当者による」ケースがかなり多いので、心配な方は管轄の警察署に問い合わせて聞いてみてください。
古物商の立ち入り調査・それは1本の電話から始まった…
それは8月の猛暑日。僕があまりの暑さに仕事のやる気をなくし、だらだらアイスを食べているとき、突然スマホが鳴った。
( ゚Д゚)(誰だろう…?)
今の時代、友人からの連絡はLINEですし、お客様からの連絡はだいたいチャットかメールです。電話なんて緊急時くらいしかかかってこない。
前回知らない番号に出たらマンションの営業電話でうんざりしたので、知らない番号なら出ないぞ…と、表示された着信先を見ると…
『○○中央警察署』
分かります?自分のスマホに警察から電話がかかってきたときの恐怖。
( ゚Д゚)(な、なにやった俺!?)
身に覚えはありませんけど、身に覚えがなくても出るのをためらいますよね?
ただ、警察からの電話を無視したってろくなことはないので、おとなしく出ることにしました。
( ゚Д゚)「も…もしもし?」(ド緊張)
『あ、〇〇さんでしょうか?〇〇警察署ですが…』
( ゚Д゚)「は、はひ!」
『あ、犯罪とかそういうのではありませんのでご安心ください。』
( ゚Д゚)「は、はひ!」
『平成30年に古物商取得されましたよね?今度立合いに行きたいのですが…』
( ゚Д゚)「は、はひっ!」
相槌を打ちながら、古物商を取得すると定期的に立ち入り調査が入る、という話を思い出す。
とりあえず出頭しろとか、今日逮捕されるという話でないことに安堵。警察側が希望の立ち入り調査日を伝えてきたので、了承して電話を切りました。
古物商の立ち入り調査とは?何をチェックされる?
そもそも、古物の売買を許可制にしているのは「盗品の流通や売買の防止」「盗品の速やかな発見」を目的としているからです。
そのため古物商許可を取得すると取引台帳の記載や盗品の通報義務といった「盗品流通防止のための義務・ルール」を遵守しなくてはいけません。その中の一つに「立ち入り調査への協力」があります。
要は「お前の営業所が、古物営業法を守って営業しているかどうかチェックするぜ!」と言うものです。
もちろん古物営業法の義務やルールをしっかり守っていれば問題ないのですが、正直な話、人によっては古物営業法を100%完璧に守るのって難しいと思います。
古物商許可をお持ちの方はご存じかと思いますが、特にネット売買における本人確認なんて
( ゚Д゚)「こんなんどうやってルール守るんじゃボケェェェェェェ!」
と、叫ばずにはいられないほどの理不尽というか、無理難題です。
本人確認不要の範囲で取引するのが一番ですが、それだとなかなか商売になりません。
上記のように人や取り扱っている商品によっては古物営業法を100%遵守するのはかなり厳しいです。
僕も可能な限り守るようにはしていますし、実際割合にして90%以上守っていると思います。ただ、それでもほんのわずかに「細かくツッコまれたくない部分」があるのも事実です。
なので、違反になったり指摘されるかどうかという話は別にしても、「立ち入り調査?絶対大丈夫だから問題ない」と胸を張って言える方は少数だと思います。
古物商の立ち入り調査の頻度はどのくらい?
立ち入り調査に来る頻度に関してはぶっちゃけ「ケースバイケース」です。県によっても地域によっても管轄によって違います。
僕は古物許可取得から6年目に調査が入りましたけど、取得2年目に調査が入った方もいるそうですし、僕の知人は10年経っても来ていません。
噂によると1年に1回調査に来る非常にめんどく…ゲフンゲフン、仕事熱心な管轄もあるそうです。
さらに、今回のように事前に『〇〇日に行きます』と言ってくれる親切なケースもあれば、
『えへっ、来ちゃった(⋈◍>◡<◍)。✧♡』
と、疑り深い彼女のようにアポなしでいきなり営業所や自宅に警察官が来るケースもあります。
なので、「どのくらいの頻度で来る?」「いつ来る?」は多分考えても無駄です。
「いつ来ても大丈夫なように常日頃からしっかりルールを守っておく」、これが一番です。
古物商の立ち入り調査は拒否できる?
できるわけねえだろ( ゚Д゚)!
警察が自宅や営業所に来るのに抵抗があるのはわかりますが、古物商許可を取得したら立ち入り調査の協力は義務です。
先述したように、僕も100%完璧にルールを遵守しているかどうかと言われれば疑問符が付く状態なのでできれば拒否したいですし、同じ思いの方も多いと思います。とはいえ違反とまではいかず、せいぜい指摘されて注意を受ける程度です。拒否する理由はありません。
ですが、中には完全に違反した状態で営業していて、立ち入り調査を断固拒否したい方もいるかもしれません。
- 古物台帳記載義務のある取引をしているのに記載していない
- プレートや許可証を紛失してしまった
- 実は営業実態が6ヶ月以上ない
- やべえブツを扱っている
やべえブツを扱っている人はおとなしく捕まっておけと思いますが、他に関してはうっかりな方も多いと思います。立ち入り調査の連絡が来てから焦る方もいるでしょう。
こんな状態で立ち入り検査なんてされたら困りますよね。古物商のルールや義務に関する「古物営業法」に違反すると、罰則はけっこう重めです。悪質な違反には懲役刑すらあります。
なので、もし本当に立ち入り調査されたくない方は…
諦めろ( ゚Д゚)!
言い方は厳しいですが、そもそもそんな営業している方が悪い。
まあ、物理的に拒否はできるかもしれません。徹底的に拒否してみるとか、居留守を使うとか。
ただ、その場合は当然罰せられます。
例えば、佐賀県警のウェブサイトにもこう書いてあります。ちなみに立ち入り調査の拒否、妨害、虚偽の報告は「10万円以下の罰金」だそうです。
拒否したことは無いのでわかりませんけど、たぶん拒否すると容赦なく罰金刑くらうと思います。なにせ民間企業ではなく、警察なので。
やましいことがあろうがなかろうが、警察の立ち入り調査には素直に応じましょう。
古物商の立ち入り調査でチェックされる内容は主に3つ!
立ち入り調査で警察が主にチェックするのは3点です。
- 古物商プレートの掲示確認
- 古物許可証の確認
- 古物台帳(帳簿)の記載確認
このほか、細かい質問もいくつかされます。
古物商プレートの掲示確認
古物商許可を持っている方には説明不要ですが一応説明します。古物商プレートとは、古物商登録番号と自分の名前、そして「何を主に扱っているか」を表示するためのプレートです。
古物商許可をもらったら真っ先に作りますよね。古物商はこのプレートを入口の見えるところに、表札のように掲示しなくてはいけません。
ただ僕のように自宅というか、賃貸マンションを営業所に登録して商品を保管している場合はこのプレートの掲示が問題です。当然借りるときに「玄関に古物商プレートを掲示したい」と言って許可をもらわなくてはいけませんが、大家さんによっては良い顔をしません。
特にご年配の大家さんは「自分の貸した物件で怪しい商売をするんか?」と疑いの目を向けてきます。
僕は運よく大家さんが古物商に理解のある方で掲示の許可をいただけたんですが、大家さんによっては玄関先にプレート付けるのは難しいかもしれません。
ただ、うちの管轄では入口だけではなく玄関入った場所の目立つところ、つまり室内でもいいそうです。なので、僕はいつも玄関の靴箱に貼っています。
古物許可証の確認
きちんと古物商許可証を持っているかどうかも確認されます。これは提示するだけなので特に問題ないはず。
当然失くしたとか、住所変わったのに更新していないとかはNGです。
古物台帳(帳簿)の記載確認
多くの人にとって一番の問題になるのは古物台帳への記載です。
「古物台帳に取引を正しく記載しているかどうか」をチェックされますが、記載に関するルールがかなり複雑で、さらに先述したように記載するつもりがあっても、人によっては100%正しく記載するのが難しい場合があります。
とはいえ、立ち入り調査はこの古物台帳の記載チェックがメインです。
古物台帳記載の義務がある取引を行ったにも関わらず記載していないというのは論外ですが、そのほかにも抜けや漏れがないかどうかチェックしておきましょう。
立ち入り調査当日までに準備・チェックしておいた方が良いもの
- 古物商プレートは正しい場所に掲示しているか
- 古物許可証は確実に手元にあるか
- 古物台帳(帳簿)の記載漏れや違反がないかどうか
- 商品の保管場所は適切か
- 自宅を営業所にしている人は部屋が綺麗かどうか
アポなしで来た場合はどうしようもありませんが、そうでない場合は上記をチェックしておきましょう。
立ち入りは玄関までで終わるケースもあれば、部屋の中まで来て商品が正しく保管されているかどうか確認される場合もあるそうです。そのため、商品の保管や管理もしっかりやっておきましょう。
また、万が一部屋の中まで入られたときのことを考えて、部屋は綺麗にしておきましょう。印象を良くしておくに越したことはありません。
調査当日の流れ・手順
当日になると、指定した時間ピッタリに警察官が…
( ゚Д゚)(来ねえ…)
僕の家ちょっとわかりにくい場所にあるので道に迷ったのか…約束の時間になってもなかなか来ませんでした。
遅れるのは別にいいんですが…
警察が家に来るのを待つ時間ってものすごくそわそわしますよね。
ストレスに弱い僕はお腹が痛くなりました。でもトイレに入った瞬間にピンポンされても嫌なので、ひたすらそわそわして待ちます。
20分ほど経った頃、ドアを小さく「コンコン」されました。
( ゚Д゚)(なぜインターホンを押さぬ…)
と突っ込みたくなりましたが、相手は警察官。下手に「なんでやねん☆(ビシッ!)」なんてツッコミをしたら公務執行妨害で逮捕、なんて事態になりかねません。
おとなしくドアを開けると、上記のような制服姿の警察官が一人立っていました。警察官って二人組のイメージがありますが、一人でしたね。
『〇〇警察署の〇〇です。』
と、警察手帳を見せながらご丁寧に自己紹介していただいたんですが…
…
( ゚Д゚)(早く玄関の中に入ってくれねえかなあ…)
僕の家に警察官が来ているのをご近所さんに見られたら、後々のご近所付き合いに支障が出るかもしれません。
それとなく玄関の中に誘導して、さっさとお帰りいただ…じゃなくてお互いのためにスピーディに終わらせようと、古物商プレートと古物許可証を先に提示しました。
続いて古物台帳の提示を求められたので、Excelで管理している古物台帳を見せて「ちゃんとやってますよ」を猛アピール。
ちなみに僕は青色申告なこともあり、古物台帳記載の義務がある取引も、義務のない取引もすべて細かく記載しています。
つまり完璧( ゚Д゚)フハハハハ!
警察の方にも「かなりちゃんとやってますね」と褒めていただきました。
警察官の方は、決してフレンドリーな感じではありませんでしたが、かといって高圧的でもなく、こちらも落ち着いて対応できました。
まあ、これも人によるんでしょうけど。
チェックの後、簡単な質問を受ける
プレート・許可証・台帳の提示が終わるといくつか質問を受けます。以下は僕が受けた質問のQ&Aです。
Q:どんなものをどこで売っているのか?
メルカリ・ラクマ・ヤフオクで古着販売をしています。
Q:いままで盗品を扱ったことはあるか
ありません。また、警察からの情報提供の問い合わせもありません
Q:6ヶ月以内に古物商としての取引実態があるか
昨日も取引しました。
こんな感じで話を聞かれました。
3つ目の質問ですが、古物商許可は6か月間取引実態がないと許可を取り消される可能性があります。
警察官に、古物商について質問してみました
せっかくの機会なので、警察官に古物商についていろいろ聞いてみました。不明なことは直接聞くのが一番!
ただし何度も、何度でも念押ししますがあくまでも僕のケース、今回の担当警察官の方のケースなので参考程度にしてください。
Q:ネット販売だと古物営業法に則った本人確認が難しいケースがありますが、その場合どうしたらいいですか?
A:仕入れの場合は、仕入れ先と注文番号を控えておいてください。メルカリなどのサイトを利用した匿名取引で販売した場合、売却先のサイトと取引番号を控えておいてください。
※ただし、上記の対応でOKだとは言ってませんでした。ここからは僕の推測になりますが、警察もネット売買時の本人確認は現実的ではないと思ってはいるようです。なので最低でも盗品が流通した際に履歴が追えるように、注文番号や取引番号は記録しておいて、ということでしょう。ただ、警察の立場を考えれば上記の対応でOKですよ、とは当然言えませんよね。なので「グレーゾーン」「ごにょごにょ」な部分が多い感じの回答でした。
この辺りのニュアンスは本当に管轄や担当者次第です。
ただ、時代に即していない部分があるとはいえ、古物営業法で決められている以上厳密に言えば、決められているルールをきっちりと遵守しなくてはいけません。なので、「注文番号や取引番号を控えてあればOKではない」という点は留意しておきましょう。
正直ネット売買をしていて、古物営業法で定められた本人確認をするのはめちゃくちゃ面倒(というか実質不可能)なので、僕は本人確認をしなくていい範囲での取引をメインにしています。
Q:今回、僕の立ち入り検査に対する対応で今後の調査も問題ないですか?
A:基本的に問題ないと思います。ただ、立ち入り調査は警察官の場合もあれば、管轄の生活安全課古物商担当が来る場合もあります。古物商担当が来た場合、調査が少し厳しくなるかもしれません。
今日暑くないですか?
A:暑いですね。
以上で立ち入り調査が終了しました。
最終的に細かい指摘が1件あったものの、それ以外は違反なしで終了しました。その指摘も「できれば対応してください」程度のものです。
商品のある部屋の中まで入ってくるケースもあるそうですが、僕の場合は玄関まででした。一応部屋の中まで見られるのを想定して、めちゃくちゃ綺麗にしておいたんですけどね( ゚Д゚)?
最後に古物商とは関係ない、「巡回連絡」といういわゆる「地域の安全を守る活動」の一環で、名前とか職業とか災害・犯罪に巻き込まれたときの緊急連絡先を聞かれました。
その際、僕になにかあった時の緊急連絡先として弟の連絡先教えたんですが、もう何年も電話していないので
番号が変わっていたらどうしよう。
かけて知らない人が出たらごめんね?
という感じで、古物商立ち入り調査はすべて終了。警察官が来てから調査終了までにかかった時間はトータル20分ほどでした。
普段からちゃんとルール守っていれば、立ち入り調査は怖くない
今回、人生初というか、古物商許可を取得して初めての警察の立ち入り調査を受けました。結果的に大きな問題はなかったんですが、当日までは生きた心地がしませんでした。
それもこれも立ち入り検査に関する情報が少ないせいです。事前情報がない中で警察官の立ち入り調査が入るなんて聞いたら不安になるに決まってます。
ただ、やるべきことをきちんとやっていて大きな不正がなければ、警察官も必要以上に厳しく追及してきません。軽微な違反は口頭注意というか、是正してくださいで終わりです。古物商の立ち入り調査は基本的に犯罪の調査ではありませんからね。
なので、今後立ち入り調査を受ける方や、古物商許可証を取得しようとしている方は、「普段からやるべきことをきちんとやっておけばOK」です。
今回調査を受けた僕のケースも、あくまで「ケースバイケースの中の一つ」です。ただ、そもそもほとんど情報がない中では貴重な一例だと思います。
全国の古物商仲間の皆さん、お互い頑張りましょうね。
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