今回は、長野県小布施町にある葛飾北斎専門の美術館「北斎館」を紹介します。
葛飾北斎と言えば、言わずと知れた日本が世界に誇る歴史上最強の芸術家の一人と言っても過言ではありません。

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葛飾北斎を知らなくても、『神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)』はきっとみなさん一度は目にしたことがあるはず。
葛飾北斎と言えば浮世絵のイメージが強いですが、それ以外にも図鑑や漫画的なもの、さらに春画まで、『絵』というジャンルにおいて、非常に幅広い絵を描いています。
そんな葛飾北斎の作品を気軽に楽しめるのが北斎館です。

館内には葛飾北斎が描いた作品の展示はもちろん、北斎にまつわる企画展も定期的にテーマを変えて開催されているので、葛飾北斎好きであれば何度来ても楽しめます。
今回は、そんな北斎館を取材してきました。
写真撮影もOKとのことだったので、館内の様子を豊富な写真付きで紹介します。
葛飾北斎好きは絶対行くべきです!

そうでない人は…この記事読んで判断してください。
北斎館は、葛飾北斎の肉筆画の数々を展示した全国でも珍しい美術館

北斎館は、その名の通り葛飾北斎の作品や葛飾北斎をテーマにした企画展を展示・発信している美術館です。

小布施にある高井鴻山記念館
小布施町と葛飾北斎の関係ですが、小布施町には葛飾北斎の強力なパトロン(出資者)である小布施の豪商・高井鴻山(たかいこうざん)がいました。
商売人でありながら文化にも造詣が深く、一流の文化人でもあった高井鴻山は北斎に資金面の援助や専用のアトリエ「碧漪軒(へきいけん)」を造るなどさまざまな協力や交流を行っています。
そのため、北斎は生涯のうち4度も小布施を訪れています。

最後の訪問は亡くなる1年前の89歳で、このときに岩松院の天井に描いた「八方睨み鳳凰図」は、葛飾北斎の集大成であり、大傑作と言われています。
そんな北斎と縁の深い小布施には、八方睨み鳳凰図だけではなく数々の肉筆画などが残されており、北斎館ではこれら貴重な絵や資料を多数展示しています。

昭和51年(1976年)11月開館と、かなり歴史のある美術館?博物館?です。
そもそも葛飾北斎とは!?死の間際まで絵を描き続けたまさに画狂人

葛飾北斎について、僕なりにわかりやすく解説します。
北斎館は、葛飾北斎に関する展示しかないので彼の事を知っておくと何倍も楽しめます。
…というか、葛飾北斎を知らないと北斎館は楽しめません。
北斎館は『もちろん北斎は知ってんのやろ?』みたいな、知ってる前提で作品が展示されています。なので、『北斎とは~』みたいな展示は一切ありません。
まあ…北斎館に興味がない人はそもそもこの記事読んでないと思うし、そんな人にいまさら解説はいらんだろうとは思いますが…
僕のように『なんか楽しそうだから入ってみた』みたいなちょっとアレな人もいると思うので一応解説しておきます。
葛飾北斎は、1760年から1849年までを生きた江戸時代後期の浮世絵師です。

19歳から絵師として活動を始め、以降70年間に渡って人や草木、風景はもちろん龍や鳳凰、妖怪といった空想上の生き物などまさに森羅万象を描きました。

いろいろなモチーフを描いただけではなく、浮世絵をはじめ、黄表紙(絵小説のようなもの)、読本、狂歌本、絵手本、春画(要はユーモアたっぷりのエロ本)などさまざま。
中には、「北斎漫画」と呼ばれる、事物を面白おかしく、あるいはリアルにデフォルメして描く様に現代のマンガのルーツともいえるべき作品も多く残しています。
東洋技法だけではなく西洋技法も積極的に取り入れ、自らを「画狂人」と名乗るほど絵を描くことに取り憑かれていたそうです。

その筆はまさに変幻自在で、『北斎に描けないものは無い』とまで言われていたほど。
19世紀後半に北斎の絵がヨーロッパに渡った際には、現地の国々で「ジャポニスム(日本趣味)」ブームが起きるなど、海外の芸術家たちに与えた影響も計り知れません。
そんな「とにかく絵を描くこと」を追求していた彼の作品数は、34,000点以上とも言われています。
70年間、3万点以上の絵を描いてなお死の間際に「あともう5年生きられたら真の絵描きになれたのに…」と言ったそうです。

良い意味で『死ななきゃ治らない』を地で行く、浮世絵師というよりまさに画狂人です。
北斎館の基本情報(入館料・営業時間・定休日など)
北斎館は小布施町の中心地にあるものの、ちょっと奥まった場所にあって初めて行く人はわかりにくいかもしれません。
目印は小布施町のいわゆるメインストリートにある、竹風堂や日本のあかり博物館です。その道路の反対側にある道を進めば、北斎館が右手側に見えてきます。
休館日は大晦日のみと、非常にやる気に満ち溢れています。
入館料は一般が1,200円とややお高めで、まさに大人のための博物館。
見学にかかる時間ですが、展示品はあまり多くないので普通の人で30分程度、ミュージアムショップ(売店)でゆっくり珍しいお土産を見ても計1時間程度見ておけば十分かと。

残念ながら(というか当然ながら)ペットは同伴不可です。愛犬と一緒に来た方は、周辺のペットOKのカフェなどで過ごしてください。
北斎館見学時の注意点
北斎館を見学する際の注意点です。
葛飾北斎のファン以外は…あまり期待しすぎないほうが良いかも

ええと…言葉選びが難しいのですが…北斎館は葛飾北斎好きのための専門美術館みたいな感じです。
なので…葛飾北斎マニアじゃない人が行っても…その…ごにょごにょ…的なみたいなところがあります。
それほど好きじゃなくても、大量に絵や資料が展示されていれば見応えもありますし北斎に詳しくない人でも楽しめると思うのですが…

北斎館は、空間を広く使ったものすごく贅沢な展示方法をしています。
豪華で極上でラグジュアリーでハイクラスでプレミアムな展示というか…その…
ああもう!
慎重に言葉選ぶのめんどくせえ!
要は、展示物がスッカスカで少ないの!
広い空間にどどーんと作品が飾ってあって、空間自体はものすごく綺麗なんですが、見応えという点ではかなり寂しく感じました。
本当に申し訳ないのですが…北斎に思い入れのない僕としては個人的にはこの展示数で1,200円はものすごく高い贅沢だなと思いました。
もちろん貴重で素晴らしい作品に出合えるのは間違いありません。なので、冒頭でお話した通り、『北斎ファンは絶対行っとけ!』です。
なお、口コミをチェックしたところ、企画展示の内容によっては北斎の作品展示がもっと少ないときもあるそうです。

確かに今回も企画展のスペースが異常に広いな…と。行く際は企画展を確認してから行ったほうが良いかもしれません。
動画撮影は禁止!

北斎館は写真撮影が可能です。
ただし、三脚やフラッシュを使った写真撮影および動画撮影は禁止となっています。
( ゚Д゚)「ケチいいいい!動画くらいいいじゃん」
と、一瞬思いましたが…
冷静になって考えてみると、「美術館で写真撮影が可能」というだけでも非常に心が広い対応です。

僕はこのブログの記事にするネタ探しで色々な施設を調べていますが…だいたい美術館関係は著作権などの関係上、絶対に写真撮影の許可はもらえません。
このブログで有名な美術館を紹介していないのはこのせいです。
写真が撮れないと、外観撮影した後はひたすら文字だけの僕の体験記になってしまうので…そうなるとたぶん誰も読んでくれないと思う…( ;∀;)。
そんな中、北斎館のなんと懐の広いことか!
※さっき展示物が少ないと軽くディスったので、ちょっと持ち上げておく
おそらく、絵が展示されている美術館系の施設で撮影OKなのは僕の知る限りここだけです。

絵じゃなければ、坂城町にある日本刀専門美術館「鉄の展示館」は撮影OKでした。
いざ北斎館へ入館!

北斎館の受付です。ここで入館料を払って中へ入ります。

展示室へ行く途中にミュージアムショップ(売店)があります。
個人的には北斎館で一番楽しいと思った場所です。
ただ、荷物になるので帰りに寄っていくのがおすすめなのであとで紹介します。

なお、ミュージアムショップだけ行きたい場合は入館料は不要です。
水戸岡鋭治デザインのキッズルーム「みとくさい」

ミュージアムショップの向かいに、簾のようなものがかかっている場所があります。
ここは、デザイナーの水戸岡鋭治氏や砂田光紀氏が国産木材のみを使って作り上げたキッズルーム「水戸久斎(みとくさい)」です。

みとくさいは子ども一人につき300円の有料となっています。
利用する方は受付で手続きをしてから入ってください。

中は北斎ワールド全開のおしゃれな空間になっていて、木製の遊具やおもちゃがたくさん置いてあります。

果たして子供に北斎ワールドがわかるのか?という疑問はあると思いますが、小さい頃から芸術に触れさせておくという考え方には賛成です。
例え子どもには北斎が分からないとしても、遊具は絶対子どもが喜びそうなものばかり。木製で安全に遊べる点も素晴らしいです。
これだけの規模と遊具で遊べる場所ってなかなかないので、お子さんがいる方はぜひ遊ばせてあげてください。
展示室

みとくさいとミュージアムショップを通りすぎて奥へ行くと展示室の入り口があります。

最初は企画展示場のようで、この日は「北斎を魅了した天舞う瑞獣 ―龍・鳳凰―」が開催されていました。

瑞獣(ずいじゅう)とは、めでたいことの兆しとして現れるとされる空想上の動物のことです。
- 龍
- 鳳凰(ほうおう)
- 霊亀(れいき)
- 鸞(らん)
- 麒麟(きりん)
- 九尾の狐
ゲームや漫画でもおなじみの方々です。
期間限定の企画展なので内容を説明したって…と思うかもしれませんが、瑞獣は北斎を語る上で外せないテーマです。
中でも龍と鳳凰は北斎にとって特別な意味を持っていたようで、90年の人生の中で数多くの龍と鳳凰を描いています。

特に龍図は北斎の絵の多くで目にします。
今の時代であればネットや本から情報が手に入りますが、当時のような情報が非常に限られている中でこうした想像上の生き物を描くってすごいことだと思います。

こちらは鳳凰。
小布施町にある「岩松院(がんしょういん)」本堂の天井に描かれている「八方睨み鳳凰図」です。

その名の通り、どの位置から見ても鳳凰と目が合うようになっている…そうです。

実物を実際に見てきましたが、確かにそう言われるとそう見えるような…そうでもないような…

龍や鳳凰と同じく想像上の生き物たちだと思うのですが、達筆すぎてなんて書いてあるのかわかりません。

これは分かる。「獏(ばく)」と「白澤(はくたく)」です。
獏は、鼻はゾウ、目はサイ、尾はウシ、足はトラという姿をしていて、人の悪夢を食べて眠りを守るとされる霊獣です。
白澤は、偉大な支配者の前にのみ姿を現す人の顔を持った牛、あるいは獅子とされる中国の神獣です。
どちらも古くから日本では「魔除け」や「疫病除け」の守り神として親しまれていました。

人魚や河童など、日本の妖怪も描いています。

2つ目の展示室も企画展示のようです。
「北斎×伝統工芸 北斎に挑む現代の工芸作家たち」が開催されていました。

北斎の代表的なモチーフである龍の卵をイメージして創られた「龍蛋」。
めちゃくちゃ綺麗でした。

このほかにもいろいろ展示されていたのですが…まあ…紹介しても…期間限定展示だし紹介しても…ね…。

3つ目の展示室で、ようやく常設展示っぽい雰囲気になりました。
( ゚Д゚)(やっとイメージしていた北斎の絵が見られる…)

3つの龍図が並んでいます。
特に注目したいのが、真ん中にある葛飾北斎晩年の名作『富士越龍図(ふじこしのりゅうず)』です。
亡くなる直前の90歳ころに描かれた絶作(最後の作品)、もしくは限りなく絶作に近い絵と言われています。

これは、玉巵という中国の仙女が琴を弾く姿と、その音色に惹かれて姿を現した龍を描いた「玉巵弾琴図(ぎょくしだんきんず)」。

「二美人図」。その名の通り、二人の美人を描いた艶っぽい作品です。

僕は右側が好みです。( ー`дー´)キリッ

今回展示されている中で僕が一番気に入ったのがこの「軍鶏(しゃも)」です。

龍や玉巵に比べると迫力がないというか地味というか…どこにでもあるような絵ですが、僕はなぜか食い入るように見てしまいました。
僕に絵心はないのでうまく表現できませんが、1本1本の線が綺麗です。

展示室の奥に面白い展示品がありました。その名も「デジタル掛け軸」。
掛け軸風の液晶に、次々と絵が映し出されます。
ありがたいような…ありがたみがないような…
おじさんとしては、QRコードお賽銭とかQRお年玉もそうですが「デジタル×文化」の融合的なものを見るとつい「情緒ってもんが…ゴニョゴニョ」とか思ってしまいます。

ただ、純粋にインテリアとして考えたら非常に素晴らしいと思います。
その日の気分やイベント、部屋の雰囲気や季節に応じて簡単に絵を変えられますし、作品の劣化や盗難の心配もありません。

一番奥には、北斎館の目玉展示である祭り屋台がありました。

二基の祭屋台にはそれぞれ北斎筆の天井絵が描かれています。
上町祭屋台には「男浪」「女浪」の「怒濤図」が描かれ、さらに「水滸伝」に登場する皇孫勝と応龍の木像が飾られています。
もう一基の東町祭屋台には北斎が得意とする「龍」と「鳳凰」。
いずれも長野県宝に指定されています。

素人が見ても、そしてどの角度から見ても手間とお金をかけた素晴らしいものだと言うことが分かります。
これを見るためだけにお金を払う価値があると言っても過言では…いやちょっと過言でした。

1,200円か…(ブツブツ…)
※何度でも言いますが、北斎を良く知らないド素人の感想です
たぶんミュージアムショップが一番楽しい(笑)

帰りにミュージアムショップへ寄りました。
もちろん北斎に関するグッズばかりなんですが、僕はここが一番面白いというか楽しめました。
というと展示品に失礼なんですが…ミュージアムショップは本当に商品数が多く、ある意味ここが一番見ごたえのある展示室です。(笑)

高そうな絵が飾られていますが、額無しなら比較的お手頃な価格で購入できます。
あくまでも僕の感覚で
( ゚Д゚)(お?思ったより安いぞ)
と思いました。

特におすすめなのがこの北斎Tシャツです。

いずれも派手で着るとヤンチャ感というか中二病感が半端なく、とにかく目立つこと間違いなし。

小布施と言えば栗。
北斎館では、「竹風堂」「栗庵 風味堂」などの栗菓子を扱う名店の商品が「北斎館限定パッケージ」で購入できます。
北斎館限定パッケージは北斎館に来ないと買えませんが、通常の商品は通販でも購入可能です。
あまり買う機会はない栗菓子ですが、本当においしいので騙されたと思ってぜひ一度味わってみてください。
まとめ:北斎館は北斎の絵を見て知って楽しめる美術館!

今回は、長野県小布施町にある北斎館を紹介しました。
正直、僕のように葛飾北斎の名前くらいしか知らん、という方にはちょっと物足りないかもしれませんが…
逆に葛飾北斎が好きな方は絶対に行くべきです。
定期的に企画や展示が変わるので、何度行っても新しい作品との出会いがあるはず。
僕もまた近いうちに訪れてみたいと思います。
…
すみません、嘘つきました。とりあえず数年後くらいに検討します。
このブログでは、北斎館のほかにも「日本のあかり博物館」や「岩松院」など小布施町の観光スポットを紹介していますので、以下の記事もぜひ読んでみてください。


小布施町宿泊情報
小布施町は宿泊施設が少なく、あってもゲストハウスややや高級な宿泊施設が多いです。
なのでリーズナブルな普通のホテルに泊まりたい方は、隣の須坂や中野のビジネスホテルを利用してもいいと思います。
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