今回紹介する北向観音は、その名の通り本堂が北向きに建てられた大変珍しいお寺です。
なぜ北向なのかとか、そういった難しい話はあとで詳しく説明しますが、今回取材に訪れて思ったのは、本堂やそのほかのお堂そのすべてが美しいという点です。
別所温泉の神社仏閣は緻密で美しい作りのものが多いのですが、北向観音も例に漏れず、どのお堂も素晴らしい作りになっています。
神社仏閣マニアや建築マニアなんて大興奮間違いなし。

北向観音には、ほかにも北原白秋の歌碑や、小説の題材にもなった愛染カツラ、そして遠くまで見渡せる眺望などもあります。
さらに、北向観音のある別所温泉周辺には国宝三重塔などの観光スポットがたくさんあるので、一日遊べるはずです。
今回は、そんな北向観音をじっくり紹介します。

北向観音や別所温泉街をぶらぶら歩くだけでも楽しいです。
北向観音はなぜ北向き?善光寺と向かい合う「北向観音」の由来とご利益

北向観音は、比叡山延暦寺座主の慈覚大師円仁により、平安時代初期の天長2年(825年)に開創されました。
1182年には、木曽義仲の手により北向観音含めほとんどの寺院が焼かれてしまいましたが、その後、源頼朝と塩田陸奥守北条国時により北向観音が再興されたそうです。

最大の特徴は、冒頭でもお話しした通り本堂が北を向いて建てられている点です。
というのも、本堂が北を向いているお寺は国内にほとんどありません。
確かに「北枕」という言葉があるように、北って方角の中ではあまりいいイメージないですよね。
ところが、実は基本的にお寺を建てる向きに決まりはありません。北向きに建ててはだめ、という決まりもないんです。
ただ、仏教では西に極楽浄土があるとされていたり、宗派の総本山が南にあることが多いことから、本堂は基本的に西や南向きに建てられることが多いとのこと。

ちなみに、長野市にある善光寺は南向きで、北向観音と向かい合うように建てられています。
- 北向きの北向観音は現世での幸せを願う
- 南向きの善光寺は来世での幸せを願う
以上の点から、北向観音と善光寺のお参りはセットで行うのが良いそうです。
片方だけの御参りは「片詣り」になってしまうとのこと。

出典:北向観音・常楽寺公式HP(kitamuki-kannon.com)
詳しく北向観音について知りたい方は、北向観音公式ウェブサイトもチェックしてください。
北向観音の基本情報(拝観時間・御朱印・ペット同伴の可否など)
| 住所 | 〒386-1431 長野県上田市別所温泉1656 |
| 電話番号 | 0268-38-2023 |
| 御本尊 | 千手観音菩薩 |
| 御朱印 | あり(500円) |
| 拝観時間 | 7:00~16:00 御朱印・御守の授与は8:00~16:00 |
| 定休日 (休務日) |
なし |
| 駐車場 | 周辺に有料駐車場あり |
| ペット同伴 | OK |
| 所要時間 | 60分 |
| 公式サイト | https://www.kitamuki-kannon.com/ |
北向観音の拝観時間は7:00~16:00で、休務日(定休日)はありません。
北向観音はペット同伴可能なので、ぜひ愛犬と一緒に境内を楽しみましょう。
ただし、当然ながらほかの人に配慮してしっかりとリードやキャリーでコントロールしてください。

本尊は、「千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)」です。
北向観音の滞在時間の目安ですが、北向観音だけであれば60分もあれば十分です。
もちろん北向観音参道やほかの観光スポットを見て回る場合は、もっと時間があったほうが良いです。

正直ここまで来て北向観音だけ見ていくってのもちょっともったいない。
北向観音へのアクセス・駐車場情報
北向観音は、長野県上田市別所温泉の奥というか中心地にあり、かなり目立つので別所温泉に行けばまず間違いなくわかります。
人に聞くまでもないくらいわかりやすい場所にありますが、もし万が一わからなかったらそこら辺にいる人に聞きましょう。
地元の人はもちろん、観光客に聞いたってわかると思います。
車で行く場合は、周辺にある有料駐車場に停めてください。

北向観音のすぐ下にある「観音下駐車場」が広いし、近いしおすすめです。
駐車料金は500円でした。
北向観音に来たら、時間に余裕を持って周辺もぜひ観光していこう!
特に参拝時の注意点はありませんが、北向観音周辺には参道をはじめ国宝のある安楽寺、重要文化財のある常楽寺など観光スポットが非常に多いです。
できれば時間に余裕をもって、ゆっくりと周辺観光地を巡るのがおすすめです。
あと、注意事項ではありませんが、遠くの景色や薬師堂を撮影するためにズーム撮影に強いカメラがあると便利です。
カメラに詳しくない方や初心者の方は、PanasonicのDC-FZ85D-Kのような、レンズ交換不要でズーム撮影に強い「ネオ一眼カメラ(ブリッジカメラ)」がおすすめ。
北向観音を散策
それでは、北向観音を散策していきましょう。
食べ歩きも楽しい!レトロな北向観音参道

北向観音の入り口は、道沿いに大きく出ているのですぐにわかります。
迷うのは駐車場の場所くらいです。(僕はちょっと迷いました)
この階段を下ると北向観音参道、その先に北向観音があります。

北向観音参道です。遠くに北向観音の本堂が見えてますね。
北向観音参道にも個性的なお店がたくさんあるので、時間があればいろいろ巡って見てください。
階段を上がればすぐに本堂が見えてきます。
北向観音本堂

別所温泉の中心地で、しかも駐車場のすぐそば、さらに本堂までの距離や階段の段数もさほどないため、年配の方でも安全にお参りできる点が非常に親切。
どことは言いませんが、神社やお寺の中には心臓破りとか膝クラッシャーな階段を擁する所がけっこうありますからね。

見事な本堂です。
ぐるっと回れるようになっているので、一周して細かく造りを見ていくのも良いと思います。

個人的には、この位置から見る本堂がかっこいい。
表現が妥当かどうかわかりませんが、力強くて渋いイケメンなお寺です。

北向観音の御本尊は「千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)」。
「千手千眼観世音菩薩」とも呼ばれ、その名の通り無数の手や眼であらゆる生きとし生けるものを漏らさず救うという、広大な慈悲を持った菩薩様です。
なお、北向観音の御本尊および前立本尊(本尊の身代わり)は秘仏のため、一般公開はされていません。
唯一、北向観音の住職交代の際に行われる御開帳で前立本尊を拝観できますが、前回の御開帳が2025年だったので、おそらく次回の御開帳は数十年後です。

本堂内には、善光寺にもある「賓頭盧尊(びんずるそん)」が置いてありました。
賓頭盧尊者像(びんずるそんじゃぞう)とか、びんずるさんとも呼ばれる、いわゆる「撫で仏」です。
体の調子の悪い部分と同じ個所を撫で、その手で自分の悪い箇所を撫でると良くなると言われています。

僕も調子の悪い部分を撫でてきました。本当は顔も頭も含めて全身撫でたいところですが、不審者っぽいので止めました。
北向観音周辺の景色

天気のいい日は、広々とした境内を見回すだけでも気持ちが良いです。
遠くに見える街は、位置的に上田市方面だと思います。
夫婦杉

本堂の横には「夫婦杉」があります。
元々は1本の杉ですが、根本から二股に分かれていて、その仲良く並んだ様子から夫婦円満の象徴とされています。

本堂よりもはるかに高いです。
愛染堂・札所観音堂・額堂

こちらは、愛染明王(あいぜんみょうおう)が安置されている愛染堂。

愛染明王は、3つの目と6本の腕を持った仏様で、怒りの形相で、燃え盛る炎(日輪)を背にし、さまざまな武器を持つ力強い御姿の仏様です。
愛欲や煩悩を悟りへと導く力を持つとされ、御利益は良縁成就、結婚成就、夫婦円満、無病息災、延命、戦勝、染物屋・水商売守護などなど。
本堂に比べると小さ…大変コンパクトな愛染堂ですが、本堂に負けない非常に精緻な作りの名堂です。

こちらは篤信者が奉納した「秩父三十四観音」を安置している「札所観音堂」です。
篤信者(とくしんじゃ)とは特に厚い信仰心を持つ信者の事です。

内部には美しい観音像が多数安置されています。

人々が書いた絵馬を掲げている「額堂」。
中には仁王像が安置されています。
縁結びのパワースポット「愛染カツラ」と鐘楼・梵鐘

鐘楼(鐘を吊るす建物)と梵鐘。
本来の鐘は第二次世界大戦の金属供出(国が強制的に金属を回収した)により、行方不明となってしまいました。
現在の鐘は鋳金工芸作家である香取正彦氏によるもので、昭和24年に長野市で開かれた平和博覧会に出陳されたこの鐘を当時の善光寺大勧進副住職常楽寺半田孝海大僧正が手に入れたそうです。

鐘楼の横にある樹齢1200年の老木、「愛染カツラ」。
第一回直木賞受賞作家である故川口松太郎氏がこの愛染カツラと、先ほどの愛染堂にちなんで小説「愛染かつら」を書いたそうです。

昭和14年6月5日に長野県の天然記念物に指定され、現在では「縁結びの霊木」として親しまれています。
不動堂・温泉薬師瑠璃殿・北原白秋の歌碑

護摩を焚き、祈祷を行うための仏堂「護摩堂(不動堂)」。

文化6年(1809年)に再建された「温泉薬師瑠璃殿」、いわゆる薬師堂です。
とんでもない場所にあります。どうやって行くんでしょうか…。

詩人・北原白秋の歌碑。
北原白秋は、1923年(大正12年)に家族で別所温泉に遊びに来た際、わずか数日で162首の短歌を詠んだと言われています。
遊びに来たんじゃないのかよ…。
遊びに来たのが3日間として、1日12時間創作しても162首詠むには1時間あたり4~5首作らないといけません。
絶対遊ぶ暇なんてなかったと思います。

僕が子供だったら、「こんな所まで来て仕事するのやめてよお父さん!」とか言ってしまいそう。
まとめ:北向観音はのんびりと参拝できる温泉街の中心にあるお寺

というわけで、今回は、長野県上田市別所温泉にある「北向観音」を紹介しました。
とにかくあらゆる建物が緻密で力強く、大変見ごたえのあるものばかりです。
仏閣好きの方なら、きっと時間を忘れて楽しめるのではないでしょうか。
別所温泉は北向観音だけじゃありません。ほかにも見どころはたくさんあるので、時間配分を考えてぜひいろいろ回ってみてください。
このブログでも、以下の記事で別所温泉周辺の観光スポットをたくさん紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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