長野県の北信地域、坂城町周辺で古くから食べられている郷土料理「おしぼりうどん」は、むせずに食べるのが難しいほどの強烈な辛味を楽しめるうどんです。
人によっては食べられないほどの辛さですが、一方で刺激的な辛さが癖になって定期的に食べたくなってしまう人もいる…そんな不思議な魅力を持っています。
今回は、そんな坂城町の伝統的な激辛郷土料理「おしぼりうどん」の味や食べられる場所・季節を解説。
記事の最後には、僕が実際に行って食べてきたおしぼりうどんも紹介しています。
信州でもこの地域でしか食べられない珍しい料理です。激辛料理や珍しい料理に興味のある方はぜひ食べてみてください。
長野県 坂城町の郷土料理「おしぼりうどん」とは?
おしぼりうどんは、長野県坂城町周辺に伝わる郷土料理で、信州味噌や鰹節を入れた大根の絞り汁で茹でたうどんを食べる、いわゆる「つけうどん」です。
大根の絞り汁で食べることから、「おしぼり(お絞り)うどん」と名が付きました。
もともと海のない長野県では鰹節や醤油が手に入りにくく、そのため大根の絞り汁に味噌を入れてうどんつゆにして食べていたそうです。
おしぼりうどんの歴史は諸説ありますが、江戸時代におしぼりうどんの絞り汁に使う「ねずみ大根」が坂城町に伝わったのが始まりとされています。
ねずみ大根は坂城町の特産品で、ふっくらと下ぶくれした形とねずみのしっぽのような長い根、そして一般的な大根とは一線を画す強烈な辛味が特徴です。
その特徴的な風味を生かし、おしぼりうどんのつけ汁のほか、たくあん漬けやおやきの具、ドレッシングや焼酎などさまざまな加工品に使用されています。
うどんではなく、そばに置き換えた「おしぼりそば」を提供しているお店もあります。
おしぼりうどんは現地じゃないと食べられませんが、ねずみ大根を使用した焼酎は以下の楽天市場からも購入できます。
ねずみ大根の持つ辛味に興味のある方や、珍しい焼酎が好きな方はぜひ試してみてください。
価格:2420円 |
おしぼりうどんは「あまもっくら」な味が魅力!
おしぼりうどんの味(というか絞り汁の味)を一言で表現すると、「激烈に辛い」です。
おそらくですが、今これを読んでいる皆さんが想像している辛さの数倍は辛いと思います。
筆者は初めておしぼりうどんを口に含んだ瞬間、
( ゚Д゚)「ゴフッ!」
と、変な音を出してむせました。
初見で、むせずに食べるのはおそらく不可能です。
ただ、唐辛子のようないつまでも舌や内臓を痛めつけるようなビリビリとした辛さではなく、辛い大根をさらに煮詰めたような…わさびやからし蓮根を思わせるような…。
表現が難しいですが、さわやかで奥深い「和の辛さ」です。
まあ、さわやかな辛さと言っても激烈に辛いので、あくまでも後から思い返すとそんな感じだったかな、と思いました。
食べている時点では「とにかく辛い」しか感じません。
なんとか噛んで飲み下すと、今度は食道から胃の中まで辛くじんわりと熱くなってきます。
口に入れた瞬間はもちろん、飲み込んでからも辛い。
あまりの辛さに、半分食べたところでギブアップしようかと思いました。
一応、大根の絞り汁の中に信州味噌・鰹節・ネギなどの薬味を入れて辛さを調節できるのですが、そんなの気休め程度にしかなりません。
一瞬呼吸もできなくなるほど辛いおしぼりうどんですが、何度か苦痛に耐え…じゃなくて味わって食べていると、辛さの中に本当にごくわずかですが、「甘み」を感じるようになります。
これを坂城町では「あまもっくら」と表現するそうです。
このあまもっくらを感じられるようになると、不思議なことにだんだん癖になってくるというか、ねずみ大根のほのかな甘みと信州味噌の奥深い甘さで何度もうどんを食べたくなってきます。
辛いは辛いままなので、その日は「もう二度と食べたくない」と思うんですが…数か月経つとなぜかまた食べたくなってしまうんです。
おしぼりうどんは、「単純においしい料理」ではありません。
「非常に奥深い、楽しい料理」です。
辛いのが苦手な方は、一緒に行った人のを一口もらう程度にしておいた方がいいと思います
おしぼりうどんはどこで、いつ食べられる?
おしぼりうどんは、長野市から車で1時間ほどの距離にある長野県坂城町の名物郷土料理です。
地理的には、長野市から国道18号を通って上田方面へ向かう途中にあります。
おしぼりうどんを提供しているお店は坂城町内に数件あるので、上記の坂城町商工会の情報サイト「さかき飲食店なび」で検索してみてください。
おしぼりうどんが食べられる季節は、ねずみ大根の旬である11月~12月です。この時期になると、坂城町にある多くの飲食店が提供を開始します。
お店によっては、1年中おしぼりうどんを提供している所もあるようです。
自宅で簡単にできるおしぼりうどんの作り方
おしぼりうどんは、材料が揃えば自宅でも簡単に作れます。
おしぼりうどんの材料
- うどん(なんでもOK)
- ねずみ大根(ほかの辛味大根でも可)
- 信州味噌
- 鰹節
- ねぎ
基本的に自宅にあるもので作れますが、ねずみ大根の入手が若干難しいかもしれません。
ねずみ大根が無ければ他の辛味大根でも代用できますが、そもそもほかの辛味大根も一般的なスーパーでは手に入りにくいです。
辛味大根の旬は11~1月なので、冬になれば一部のスーパーや道の駅、生産地あたりで手に入るかもしれません。
普通の大根で代用もできますし、それはそれでおいしいですが、それだとおしぼりうどんの特徴である「強烈な辛さ」が楽しめません。
なんとかねずみ大根や辛味大根を入手して、作ってみてください。
おしぼりうどんの作り方
- 大根の皮を剥いてすり下ろす
- すった大根をふきんやキッチンペーパーで包み、汁だけ絞る
- うどんを茹でる
- その間に信州味噌や鰹節などの薬味を用意する
- 茹であがったうどんをざるや皿に盛りつける
- 大根の絞り汁にお好みの量の薬味を入れて完成
おしぼりうどんの作り方はシンプルで、料理が苦手な方でも簡単に作れます。
寒い冬でも、辛いおしぼりうどんを食べると体が温まるので、冬になったらねずみ大根を手に入れてぜひおしぼりうどんを作ってみてください。
実際に食べたお店のおしぼりうどんを紹介
筆者が実際に行って食べた、おしぼりうどんとお店を紹介します。
メニューや営業時間が変更になる場合があるので、正確なお店の情報は直接問い合わせてください。
長野県坂城町 「かいぜ」
坂城町でおしぼりうどんを食べるなら、「かいぜ」です。
お店の周りで採れた、自家製の新鮮なねずみ大根を使用しているため、まったく遠慮や手加減の無い、「これぞおしぼりうどん」と言える辛味を楽しめます。
味噌はおかわりできるので、あまりに辛くて食べられない場合は味噌をたくさん追加してください。
おしぼりうどんのほか、めんつゆで食べるうどんや手打ちそばもあるので、辛いものが苦手な方が一緒でも大丈夫です。
かいぜは地元でも有名なお店で、常に混んでいます。行く場合は早めに行きましょう。
住所 | 〒389-0602 長野県埴科郡坂城町大字中之条2366-3 |
電話番号 | 0268-81-3595 |
営業時間 | 11:30~14:00 |
定休日 | 月・火 |
長野県坂城町 びんぐし湯さん館
坂城町の「びんぐし山」にある日帰り温泉施設、「びんぐし湯さん館」の食事処でもおしぼりうどんを提供しています。
びんぐし湯さん館のおしぼりうどんは、先ほどのかいぜに比べて若干…本当にわずかですが辛味がマイルドで量もやや少なめです。
自信がない方は、こちらのおしぼりうどんがおすすめ。
また、温泉やおしぼりうどん以外の食事も楽しめるので、遊びに行ったついでにおしぼりうどんを頼んでみてはいかがでしょうか。
住所 | 〒389-0604 長野県埴科郡坂城町網掛2002-4 |
電話番号 | 0268-81-7000 |
営業時間 | 10:00~19:00(施設は21:00まで) |
定休日 | 毎月第4水曜日 |
坂城町の郷土料理おしぼりうどんのまとめ
長野県坂城町の郷土料理「おしぼりうどん」を紹介しました。
数ある郷土料理の中でも、味のインパクトは絶大。
本当に辛いので、全員におすすめできる料理とは言い難いですが、多くの方にぜひ体験してもらいたい料理です。
坂城町に遊びに行ったら、本場のおしぼりうどんをぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
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