長野市松代地区にある松代象山地下壕(松代大本営地下壕)は、「戦時中に、日本政府機能を東京から松代に移す計画のために作られた地下壕」です。
松代の観光スポットの中でも特に有名で、長野県北信地域の人なら「松代大本営」と聞けばほとんどの方が「ああ、あそこか」と思い浮かべます。
そんな松代象山地下壕ですが、地元の方でも「小学校の遠足で行ったきり」という方も多いはず。
子どもの頃は「ただただ怖い心霊スポット」みたいに感じたかもしれませんが、大人になった今行けば、きっと違った見方や楽しみ方ができると思います。
まあ、大人になったからこそ余計怖いと感じるかも…。
そんな松代象山地下壕、「興味がある」「行ってみたいけど怖い」という方も多いと思うので、今回、僕が松代象山地下壕を取材してきました。
詳しい場所や、内部の様子を豊富な写真付きで紹介します。
松代象山地下壕とは、戦時中の政府移転用に作られた地下壕
松代大本営地下壕は、第二次世界大戦末期に日本政府が本土決戦最後の拠点として、東京から政府機能を移すために作られた地下壕です。
正確には「作られる予定」でした。9ヶ月に及ぶ突貫工事によって8割ほど完成したものの、完成前に1945年8月15日、つまり終戦を迎えました。
その後、松代象山地下壕は平和な世界を後世に語り継ぐ上での貴重な戦争遺跡として、平成元年に一部を一般公開しています。
戦争にまつわる負の歴史
このサイトは、「明るく楽しく」がモットーなのであまりこういう話をしたくないのですが、松代象山地下壕を訪れるうえで避けて通れない話をします。
いわゆる戦争の過去と現在の歴史です。
ただし、ここに書いている感想は、あくまでも僕個人の意見です。その上で読んでください。
松代大本営地下壕の工事にあたっては、当時多くの労働者(日本やそのほかの国を含む)が工事に従事していたと言われてます。
中には、いわゆる強制労働によって無理やり働かされた人もいたそうです。逆に、きちんと募集をかけて賃金を支払っていたという話もあります。
さらに工事による死者は数百人とも、1,000人以上とも言われています。
超極秘&超大型計画&超特急突貫工事という、今やったら絶対社会問題になるような計画だったので、労働環境が劣悪だったのは間違いないでしょう。
これだけの無茶な計画の工事で、死者が0人なわけはないと思います。
ただ、当時松代大本営地下壕の存在は極秘中の極秘だったため、強制労働の有無や死者の数など正確な事実を知るための資料が一切残っていません。
そのせいで、語る人や立場によって「強制労働があった、なかった」「死者の数が違う」という問題論争が今なお続いています。
ここからは超個人的な見解ですが、「募集に応募して働きに来た人も、強制的に連れてこられて労働させられた人もいたんじゃないだろうか」と思います。
100%強制労働者だけで工事なんてしたら、軍側が管理しきれなくなって逃亡や暴動が起きる可能性が高いと思うので、おそらく不可能です。
一方で、戦時中末期で物資も人も不足している中、強制労働無しで工事の人手を集められたとも思えません。
中には、日本人・ほかの国問わず辛い思いをした人や、命を失った人もいたに違いありません。
良い悪いはともかく、残念ながら「戦争とはそういうもの」です。そういう異常な状況が起こるのが戦争だとも言えます。
少し考えれば安易に「強制労働はなかった」「死者も大げさだ」なんて言えるはずもありません。その一方で、ことさら被害を大きく強調する方々も「なにを根拠に?」って思っています。
- 正しい資料が残ってない
- 戦争という異常な状況下
- 当時者がほとんど残っていない
現在の状況から、今の僕たちが事実を知る方法はありません。従って、僕は強制労働の有無や死者数、戦争の是非について多くは語りません。
今回この松代象山地下壕を紹介するにあたり、僕は戦争遺跡としてだけではなく「とりあえず行ってみたくなるような観光スポット」としても紹介するつもりです。
そのため、この記事にはおそらく一部の方が眉をひそめるような表現とかが出てくると思います。
もしクレームが入ったらごめんなさいするしかありません。
ただ、僕としてはどのような形でも「まずはこういう遺跡があることを知ってもらう」のが大事だと考えています。
来た人が何を思うか、何を感じるか、そのあとどう行動するかはその人に任せます。
暗い話はここでおしまいです。ここからはできる限り明るく紹介していきます
松代象山地下壕(松代大本営地下壕)の基本情報・アクセス
住所 | 〒381-1232長野県長野市松代町西条479-11 |
電話番号 | 026-232-0171 (気象庁松代地震観測所連絡事務所) |
営業時間 | 9:00~16:00 (入壕は15:30まで) |
定休日 | 第3火曜日・年末年始 (12/29~1/3) |
入場料 | 無料(受付は必要) |
駐車場 | なし |
見学所要時間 | 約30~40分 |
松代象山地下壕は、長野市松代の「松代城跡」から山のほうへ向かった先にあります。象山神社横の道をまっすぐ進んでください。
途中で右に曲がった細い道の先、住宅地の中に松代象山地下壕があります。わかりにくい場所にありますが、有名なので看板も出ているので迷うことは無いでしょう。
上記の写真の一番奥にある建物が、松代象山地下壕の受付です。
思ったより質素というか、シンプルな場所です。
来る前は、もっと大々的に「おいでませ松代象山地下壕へ!」みたいなイメージを持っていましたが、歴史的背景を考えればあまり派手にはできませんよね。
松代象山地下壕の入場は無料ですが、入る前に受付が必要です。
見学所要時間は、だいたいゆっくり回って30分~40分くらいだと思います。
まあ、ゆっくり回る人も少ないと思いますが…
この辺りには、松代城跡や象山神社など短時間で楽しめる観光名所が多いので、松代象山地下壕と一緒にぜひ他の場所も回ってみてください。
松代の観光情報を知りたい方は、松代観光協会の公式ウェブサイトをチェック!
松代象山地下壕(松代大本営地下壕)を楽しむためのポイント・注意事項
- 歴史的背景を忘れてはいけない
- 駐車場はあらかじめ確認しておく
- できれば2~3人で行こう
松代象山地下壕を楽しむためのポイントや注意事項です。
歴史的背景を忘れてはいけない
個人的には松代象山地下壕を「観光スポット」として楽しむのは否定しませんし、一部のサイトや動画では、心霊スポットとしても紹介されているため興味本位で来る方もいるでしょう。
ただ、それでもこの地下壕が「戦争遺跡」であることは忘れてはいけません。
亡くなった方もいるはずです。必要以上に、はしゃぐのは不謹慎ですし、大人として非常にみっともないと思います。
普通に回りましょ。普通に
駐車場はあらかじめ確認しておく
また、松代象山地下壕には駐車場がありません。
車を停める場合は、少し離れた場所にある無料の代官町駐車場 (上記地図参照)か、すぐ近くの2時間200円の象山駐車場に停めましょう。
ただ、どっちの駐車場も場所がわかりにくいうえに停められる台数が少ないので、あらかじめ他の駐車場も確認しておくとスムーズです。
できれば2~3人で行こう
松代象山地下壕が心霊スポットかどうかは知りませんが、雰囲気は確実に心霊スポットです。
なので、できれば平日に2~3人くらいで来るのがおすすめ。
特に平日は人が少なく、自分の足音だけが響く空間を歩くので、一人で来るとかなり怖いと思います。
もちろん休日でも良いんですが、休日は逆に人が多く、それはそれで本来の雰囲気を楽しめません。
決して心霊スポット化させたいわけではありませんが、静かでちょっと恐怖を感じる雰囲気を味わってこその松代象山地下壕だと思います。
松代象山地下壕(松代大本営地下壕)に潜入!
松代象山地下壕に着いたら、まずは受付を済ませてください。
受付と言っても「地下壕に入りたいで~す」「はいよ」くらいの緩い感じでした。
ただ、最初に「県外の方ですか?」とけっこう圧強めに聞かれたので、ひょっとしたら県外から来た方は住所とか氏名とか書くのかもしれません。
コロナ禍ではこういう対応をされるお店、ありましたよね。なんか懐かしい気持ちになりました。
まあ、いまどき「県外の方お断り」はないと思うので…県内の方も県外の方も受付の方の指示に従ってください。
受付の反対側に、松代象山地下壕の入り口が見えます。
地下壕入り口の横には、「朝鮮人犠牲者追悼平和祈念碑」があります。
この碑の横に案内がありますが、個人的にはやや一方的な主張で歴史問題について書かれているな、と思ったので、読むのであれば「そういう説もある」と考えておきましょう。
何がとは言いませんが、片方からの強い主張を鵜呑みにすると、物事の本質を見誤ります。
くどいようですが、松代象山地下壕工事に関する強制労働の人数や事実の有無、死者数には様々な説があります
地下壕の中は天井が低く危険なので、必ずヘルメットを被ってから入ってください。
これが、松代象山地下壕の全体図です。赤い線が通れる部分、公開されている部分になっています。
図の通り、松代象山地下壕は行き止まりです。当然中にトイレはありませんので、必ず入る前に済ませておきましょう。
ヘルメットを被ってトイレを済ませたら、地下壕に入っていきます。
なんか…入口からバイオ〇ザードですよね。どこかで鍵を手に入れてここに入る…的な。
ベレッタの弾とか、体力回復するハーブとか落ちてそうです
入口付近は照明も多く、怖いと感じることはありません。
ただ、天井が低く、身長165cm以上の方は少し屈まないと頭をぶつけます。要注意。
鉄骨で補強されたエリアがしばらく続きます。
この辺りも照明が多く、ドキドキよりもワクワクが勝っています。
数分歩くと急に雰囲気が暗くなり、一気にバイオハ〇ード風に。
カメラのおかげでやや明るく撮れていますが、実際はもう少し暗いです。
ギリギリ懐中電灯がなくても何とかなるかな…くらい。
松代象山地下壕は、碁盤目状に作られているので、所々に横道があります。
もちろん横道は入れませんが、中を覗くことはできます。
工事中途中っぽい感じがリアルです。
動画も撮ってきましたので、この雰囲気を感じてください。
振り返る瞬間とか、めっちゃ怖いですよね。
ここ、一人で取材してきたんですよ…
( ゚Д゚)(だれか褒めて!)
〇イオハザード的な雰囲気の中、ひたすら進んでいきます。
一本道なので迷うことはありませんが、暗くて足場も悪いので、どこかにぶつかったり転倒しないよう注意してください。
平日だったので、マジで僕以外誰もいませんでした。
( ゚Д゚)(無事帰れるのかしら…)
( ゚Д゚)(今ここで地震起きたらどうなるん?)
とか思いながら、ものすごく不安な気持ちになりました。
もしケガしたり具合が悪くなった場合は、地下壕内5カ所に緊急用の電話があるので利用してください。
照明とか、カラーコーンのような近代的な人工物を見るとちょっとほっとします。
工事途中のまま、当時のまま保存されています。
なお、横道全部に照明があるわけではありません。中には、下の動画のように照明の無い横道もあります。
( ゚Д゚)「なんか出てきそうでめっちゃこええええええ!」
オドオドビクビクしながら、入り口から歩くこと約20分。「測点跡」と書かれた看板が見えてきます。
この場所が突き当たり、つまり終点です。
一番最後の穴には、「公開部分はここまでです」と注意書きがあります。
中を覗くと、緑色の岩が散乱しています。きっとこの奥に重要な機能を移転させるつもりだったんですね。
気が済むまで雰囲気を感じたら、来た道を戻りましょう。
なお、帰宅後に撮影した動画をチェックしたところ、一部の動画に画像の乱れなど異常な現象が発生していました。
気のせいレベルの異常が1本、どうしても説明がつかない異常が映っているものが1本。
まあ、大したことじゃないんですけどね。
霊感ないですし。
信じてませんし。
全然怖くなんかないですし。
この取材の後日、神社の取材に行った際に少し多めにお賽銭入れ、何とは言いませんが「守ってください」とお願いしました。
僕は心霊的なものは信じていませんが、「相性」「気」はあると思います。
こういう場所に行くと気分が悪くなるとか、「気」に当てられやすい人は行かないほうがいいかもしれません。
松代象山地下壕に行くのはちょっと怖いな、と思った方。
安心してください、松代にはほかにも楽しい場所がたくさんあります。
僕も松代をいろいろ取材していますので、以下の記事もぜひ読んでみてください。
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