おやきファーム(OYAKI FARM)は、老舗のおやき屋さんが手掛ける「おやきの工場&カフェ」です。
おやきを買って帰るだけではなく、テラス席でコーヒーや紅茶と一緒におやきを食べたり、おやきの製造風景を間近で見学できます。
今回は、そんなおやきファームを取材してきました。おやきファームの場所や店内、売っているおやきの紹介はもちろん、実際におやきを買って食べた感想なども写真多めで紹介します。
長野県のお土産や郷土料理と言えば、やっぱりおやきです。
おやきが好きな方はもちろん、おやきを知らない、食べたことがという方も一度は訪れてみてください。
おやきファームはおやき専門カフェ&工場
おやきファーム(OYAKI FARM)は、1925年創業の超老舗おやき屋さん「いろは堂」が、おやき文化の新たな発信拠点として建設した工場&店舗カフェです。
いろは堂は、北信地域のおやき界最大派閥(?)で、鬼無里本店とおやきファーム以外にも長野駅や善光寺、小布施などに6つの直営店を構えています。
おやきファームにはカフェと工場も併設されているので、おやきをその場で食べたり、おやき製造工程を見学・おやき作り体験もできます。
おやきファームについて詳しく知りたい方は、上記の公式ウェブサイトもチェックしてみてください。
おやきとは、小麦や米粉の生地に具材を入れて焼いた長野県の郷土料理
おやきは長野県を代表する郷土料理で、小麦・雑穀・そば粉・米粉を水で溶いて練った生地に、調理した野沢菜やナスなどの野菜の具材を包んで焼いた料理です。
特にきっちり決まった作り方はなく、「なんかの粉で生地作って、具材を入れて焼いたらおやき」くらいのゆるさ。なんなら揚げたっておやきです。
そんなおやき、昔は貴重な保存食としても作られていました。
( ゚Д゚)(この作り方でどうやって日持ちさせるのかしら…?)
と一瞬疑問に思いましたが、調べてもわからなかったので詳しい方教えてください。
長野県でおやきが生まれた理由には諸説ありますが、「長野県は稲作に不向きで、米よりも雑穀や小麦の方が一般的だったのでおやきが生まれた説」が有力です。
おやきの具材一例
おやきの具材にはさまざまな種類があります。
というより、おそらく本来は
「家にあるもんなんでもぶち込んじまえヒャッハーッ( ゚Д゚)!」
的な料理だったんじゃないかと。それくらい具材のバリエーションが豊かです。
ただ、いわゆる「定番」の具材となると、ある程度決まっています。
以下が、どのお店でも大体扱っている定番具材です。
- 野沢菜
- かぼちゃ
- ナス
- 切り干し大根
- あんこ
- 野菜ミックス
- さつまいも
上記以外に、各お店や家庭でオリジナル具材を使ったおやきがあります。
中には菜の花など、季節限定やお店限定のレア具材もあるので、いろいろ回ってレアなおやきを探して食べるのもその季節の楽しみ方です。
もちろん具材だけじゃなく、使っている粉や調理方法もさまざま。お店や家が違うと、ほぼ別の料理と言ってもいいくらい味や食感が違います。
伝統的な「灰焼きおやき」はもう食べられない?
現代のおやきの調理方法は、「焼く」「蒸す」「焼いて蒸す」「揚げて蒸す」「揚げて焼く」など、お店や家庭によってさまざま。
ですが、本来おやきの伝統的な調理方法は、鉄鍋で表面を焼いたあと、囲炉裏の灰の中に入れて蒸し焼きにする「灰焼きおやき(別名灰ころがし)」です。
ところがこの灰焼きおやき、現在お店で買うのが非常に難しくなってしまいました。
というのも、近年(と言ってもけっこう前ですが)保健所から「灰の中にぶち込んで焼いたおやきは食品衛生上、安全が保証できないから禁止!」的なお達しがあったそうです。
なので、昔は灰焼きおやきを作って売っていたお店も、現在では鉄鍋で焼いたり囲炉裏に網を置き、その上で焼く方式に変えている所がほとんど。
自宅で灰焼きおやきを作って食べる分には自己責任ですが、そもそも家に囲炉裏がある家庭もほとんどないと思います。
上記の理由により、現在灰焼きおやきを食べるのは非常に難しい状況です。
ただし、「郷土料理の保存」の名目で、灰焼きおやきの製造や販売許可が出ているお店もごく一部ですがあります。
例えば、長野市から車で40分ほどの場所にある、生坂村の道の駅「かあさん家」では、今も灰焼きおやきが購入可能です。
灰焼きおやきは、生地がサクサクで香ばしく、とてもおいしいおやきです。
灰焼きおやきを食べたい方はぜひ生坂村まで足を運んでみてください。
ただし、かあさん家の灰焼きおやきはソフトボールサイズの正気とは思えない巨大サイズです。
しかも、灰の中でしっかり焼くため凶器として使えそうなレベルの固さで、子どもや年配の方だと文字通り歯が立ちません。
普通のおやきを想像して買いに行くとびっくりするので、覚悟して買いに行ってください。
さんざん言っておいてなんですが…もちろん味は絶品です。
おやきファーム基本情報・アクセス
住所 | 〒388-8019長野県長野市篠ノ井杵淵7−1 |
電話番号 | 026-214-0410 |
営業時間 | 9:30〜18:00(冬季は17:00迄) 工場見学は10:00~16:00 |
定休日 | 不定休 工場は火曜日休み |
入場料 | 無料 |
駐車場 | あり |
所要時間 | 15分~90分 |
おやきファームは、長野市の篠ノ井にあります。川中島古戦場や長野ICがあるあたりです。
川中島古戦場から長野ICに向かって走ると、左側に建物が見えてくるのですぐにわかります。駐車場はかなり広いですが、休日は意外と混雑するので注意。
営業時間は9:30〜18:00(冬季は17:00閉店)で、定休日はありません。
ただし、工場見学は10:00~16:00までで、火曜日休みとなっています。工場見学をしたい方は、火曜日以外の10:00~16:00に行きましょう。
滞在時間は、「買って帰る」「食べていく」「おやき作り体験をする」によって大きく変わりますが、工場見学してカフェでおやきを食べていくだけなら30分ほどです。
おやき体験は予約制
おやきファームでは、実際にいろは堂で使っている生地や具材を使って自分でおやきを作り、その場で出来立てが食べられるおやき作り体験ができます。
おやき作り体験をしたい方は、2名以上で1ヶ月~3日前までに申し込みフォームより予約をしてください。
当日希望してもおやき作り体験はできません。
参加費 | 一般 1,800円(税込) 小学生以下 1,500円(税込) |
所要時間 | 約60分 |
おやきの数 | 1人あたり2個 |
予約フォーム | https://airrsv.net/oyakifarm-taiken/calendar |
参加する際は、必ず公式ウェブサイトの注意事項も確認してください。
おやきファームを楽しむためのポイント
- 時間があればぜひテラス席を利用したり、工場見学をしていこう
- いろいろなお店のおやきとの食べ比べもおすすめ
おやきファームにしかない特徴と言えば、なんといっても屋上のテラス席と工場見学です。
できればテラスでゆっくりおやきやコーヒーを楽んしだり、工場を見学したりと、おやきファームでしか楽しめない体験をしていきましょう。
いろは堂のおやきを買って帰るだけなら、わざわざここまで来なくても長野市駅内の店舗とかでもいいわけで…
おやきファームならではの楽しみ方ってもんがあるんです。
あと、いろは堂のおやきがおいしいと思ったら、ぜひ他のおやき屋さんのおやきも買って食べ比べしてみてください。
特に初めておやきを食べたという方は、最低でも2~3店舗食べ比べてほしいです。
先述しましたが、おやきは店や家庭によって作り方が異なります。作り方どころか、生地の材料すら違うケースもあり、店によってはほぼ別の料理と呼べるほど違うことも。
皮一つとっても「ふっくら系」「さっくり系」「ガチガチ系」の店があり、具材も「甘め」「しょっぱめ」「薄味」「濃い味」…とにかく全然違うんです。
長野市内には、大小合わせれば数十店舗のおやき屋さんがあります。
個人の好みもあると思いますが…はっきり言うとマズい店は本当にマズいですし、おいしいお店は忘れられなくなるほどおいしいです。
僕はもともとおやきが苦手だったんですが、とあるお店のおやきを食べてから大好きになりました。
いつでもいろは堂のおやきが食べられるようにしておきたい方には、おやきファーム駐車場にある「冷凍おやきが買える自動販売機」もおすすめです。
価格:3090円 |
遠くておやきファームまで行けない、店舗に行くのが面倒と言う方は、楽天市場でも売っています。
おやきファームに潜入!
潜入、と言うほど悪いことをしているわけではないのですが、一応潜入取材です。
おやきファーム外観および庭
おやきファームは、木造&ガラス張りのめちゃくちゃおしゃれな建物です。
インスタやSNSに写真を載せるなら、この建物が入るように撮影するといいと思います。
横から見ても綺麗です。
おやきファームを裏側から撮影してみました。他のサイトにはない(というより普通撮らない)ちょっと珍しい角度です。
この角度から撮影するためには、敷地を出て道路まで行かないといけないので貴重です。(笑)
おやきファームの庭も綺麗に整備されています。
椅子やテーブルもあるので、天気の良い日は公園のように外でのんびりと過ごすのもよさそうです。
おやきファーム店内へ潜入!
ではいよいよ店内へ潜入調査です…
( ゚Д゚)(ゴクリッ…)
初見だとけっこう入りにくいです。
理由はいろいろあると思いますが、見た目がおしゃれすぎるとか、工場見学ができるといった情報が先行したせいかもしれません。
僕も友人たちも、「入るのに勇気がいる」「入場料とかいるの?」って思っていました。
もちろん入場料は取られません。
入り口正面にあるレジカウンターで、おやきやドリンクが注文できます。持ち帰りも、その場で食べていくのも可能です。
何を注文しようか迷う方は、後ろの人からプレッシャーを受けないようメニューを決めてから列に並んだほうがいいと思います。
取材当日、レジには8種類のおやきが並んでいました。
- 野菜ミックス
- 野沢菜
- ねぎみそ
- きりぼし大根
- ぶなしめじ
- かぼちゃ
- 粒あん
- さつまいも(季節限定)
おそらくですが、レギュラーメニュー7種+季節限定1種なんだと思います。
季節や日によって一部の具材メニューが変わる可能性もあるため、お目当ての味がある方は問い合わせてみてください。
野沢菜やカボチャ、きりぼし大根といった超定番具材は間違いなくあると思いますが
レジの横にはお土産というか、グッズが売っています。
これがまた面白いというか、遊び心に溢れているというか…
ビッ〇リマン風味のおやきシールとか…
あらゆる種類のおやきをプリントしたおやきTシャツとか…
使ったり着たりするかは別にしても、「ちょっと欲しくなるグッズ(※個人差あり)」を売っています。
これ考えている人、センスあるな…仲良くなれそう
店内の奥には、おやきを食べられる椅子とテーブルがあります。
天気の悪い日とか、真夏や真冬でテラス席が使えないときはここを利用しましょう。
一番奥まで進むと、おやきを作っている工場の見学ができます。工場見学は予約なしでいつでも可能です。
工場見学と言っても、大きな一つの部屋で作っているので見学時間は数分程度です。
個人的な意見ですが、工場見学と言うと最低でも30分くらい回るイメージがあったので、
( ゚Д゚)(え?これだけ?)
と、正直思ってしまいました。
ただ、あくまでも「思っていたよりもあっさりしていた」というだけの話で、つまらないとか、がっかりしたという意味ではありません。
本当におやきが好きな人じゃない限り、延々とおやきの製造を見ても反応に困ると思うので、このくらいがいいと思います。
なお、工場内は撮影禁止なので、写真は工場の入り口までです。
テラス席に行ってきました!
レジの前にある階段を上ると、テラス席へ行けます。この日はいい天気だったので、テラス席を利用しました。
木造で温かみのある美しいテラスです。
おやきファーム周辺は建物が少ないので、周りの景色も良く開放感があります。
壁際にはソファがあるので、ここでゆっくりとおやきとドリンクを楽しめます。
一応天井付きですが、ちょっと横から雨が降ってきたら濡れるので、雨の日は使わないほうがいいでしょう。
テラス席の広さと周りの景色が分かるよう、動画撮影してきました。
( ゚Д゚)「薄曇りじゃねえかっ!」
という皆さんからのお叱りの声が聞こえてくる気がする…
もっと快晴の日に撮影したかったのですが…取材時にうっすら雲が出てしまいました。
僕は自称晴れ男ですが、なぜか毎回薄雲も呼んでしまいます。そのため、ブログの写真は薄曇り多めです。
お客様からの仕事の依頼だったら撮り直しだなこれは…
いろは堂のおやきは、甘めでもちもち触感!
いろは堂のおやき実食。おしゃれなドーナツのような袋に入ってます。
ちなみに手前のおやきが野菜ミックスのおやき。
奥にあるメープルシロップ付きの謎の物体がおやきの生地で作ったドーナツ、その名も「オヤキジドーナツ」です。
おやきだけだとどうしても好みが偏るので、お子さんやおやきがあまり好きではない方向けの商品があるのはありがたいですよね。
いろは堂のおやきは、揚げたあと焼く「揚げ焼き」です。
公式では「こんがりふっくら」と形容していますが、個人的には焼いた感は抑えめで、「もちもちふっくら」とした食感だと思います。
野菜ミックスを食べてみましたが、かなり甘めの味付けです。
けっこう好き嫌いが分かれるかもなこれ…
甘いのが苦手な方はほかの具材の方がいいかも。そのくらい甘いです。
個人的にはもう少し薄味でもよかったかも…ただ、あくまでも僕の好みの問題です。
作り方・生地・具材・味付けがそれぞれで違うおやきは、どうしても個人やお店の相性と言うか、好みが大きく分かれるのは仕方がありません。
というより、多種多様な各店のおやきから「自分好みを見つける」のもおやきの楽しみ方だと思います。
いろは堂は間違いなくおやきの名店なので、好きな人も多いです
野沢菜やきりぼし大根を選んでいたら、また感想は違ったかもしれません。
ただ、こんな感じで店によって個人の好みが大きく分かれるのがおやきの面白い所です。
いろは堂のおやきは、味が濃くて生地がもっちりとしているので、全体的に「どっしり」とした食べ応えがあります。
たぶん、普通の人は2~3個でおなか一杯になるんじゃないでしょうか。
あと、揚げ焼きなので油分も多め。近くに手洗い場もありますが、アルコールお手拭き必須です。
一方、オヤキジドーナツですが、こちらはかなり好みでした。
生地の味は甘すぎず薄すぎず絶妙で、ほんのり甘い味が好きな方なら、付属のメープルを使わずそのままでも全部食べられます。
食感は、普通のドーナツのように「ふんわり」ではなく、噛み応え抜群のやや固めの生地。「嚙みちぎる」ようにして食べる野性的な食感のドーナツです。
小さなお子さんが食べるときは、最初からちぎってあげるといいと思います。
付属のメープルシロップを付けると甘くなりますが、ベタベタした甘さではなく上品な甘さです。
( ゚Д゚)(高いお店でホットケーキ頼むとこんな味やな)
と思いましたが、おいしさが伝わりにくいうえに誉め言葉になっているか微妙なので、書かないようにします。
食レポがあまり得意ではないので、イマイチおいしさが伝わらないと思いますが、個人的にはおやきファームに来たら絶対にオヤキジドーナツは注文してほしいです。
珍しいし、絶対おいしいので、騙されたと思って注文してみてください
今回、手軽におやきを買ったり、その場で楽しめるおやきファームを取材しました。
テレビ番組に取り上げられる機会も増え、おやきも全国的に有名になってきました。(たぶん)
おやきファームを運営するいろは堂のおやきは、おやきの中では作り方や味付けは比較的スタンダードで「これぞおやき!」とか、「THE☆OYAKI」って感じです。
おやきに興味があるけど食べたことが無い方というは、まずはおやきファームでスタンダードなおやきを食べてみてはいかがでしょうか。
地元の方で、「いろは堂のおやきが好きだけど、おやきファームには行ったことが無い」という方も、入場料なんて取られませんので気軽に訪れてみてください。
おやきファーム周辺には、松代地区や茶臼山動物園など、北信地域の有名な観光地がたくさんあります。以下の記事も参考に、ぜひ休みの日の予定を立ててください。
関連記事:松代象山地下壕(松代大本営地下壕)は、戦時中の空気を体験できる防空壕