いきなりですが質問です。
長野市から安曇野市や松本市へ行く、もしくは逆ルートでとにかく国道19号を利用したことがある方なら、以下の写真にピンと来るはず。

19号を走っていると、信州新町でいきなりド派手で巨大な恐竜が見えますよね。
これが、今回紹介する「信州新町化石博物館」です。
おそらく、この道を通ったことがある99%の人がこの恐竜を認識しつつも、

( ゚Д゚)(あのでかい恐竜は何だろう…?)
とは思いつつ、結局訪れないままいつも通り過ぎてるに違いありません。
僕もそうでした。
昔、会社員だったころ通勤でこの道を何百回も通りましたが、気になりつつも一度も訪れたことはありませんでした。
だって…山の中で化石博物館って…イメージなくないですか?
信州新町と言えば、言っちゃあれですが何にもない山の中です。

参考写真
有名な物なんて、せいぜいジンギスカンと信州そばと道の駅と梅と化石博物館くらいしかありません。
…
( ゚Д゚)(あれ、意外と…いやかなり多いぞ?)
そうです、意外にも(失礼)信州新町は「アートとグルメの町」と呼ばれるほど名物や名所の宝庫なんです。

結論から言うと、信州新町化石博物館は「化石」だけでなく「美術館」「記念館」も一度に楽しめる、想像以上にコスパ抜群で楽しい場所でした。
最近では、「恐竜と言えば福井県」のイメージが強いですが、信州新町化石博物館に来れば長野県でも恐竜や化石を楽しめます。
というわけで、今回は長野県長野市信州新町にある「信州新町化石博物館」を紹介します。
たくさんの写真付きで紹介しますので、この記事を読んで興味を持ったらぜひ実際に訪れて展示を楽しんでみてください。
信州新町化石博物館とは:美術も化石も楽しめちゃうお得な博物館!

信州新町化石博物館は、世界中の化石をコレクションしていた西沢勇氏が、世界53か国から集めた自身のコレクション約6,000点を信州新町に寄贈したことをきっかけに平成5年(1993年)に開館した博物館です。
平成22年(2010年)に、信州新町が長野市と合併したことから、現在は長野市立博物館の分館となっています。

信州新町化石博物館では、信州新町で発掘されたクジラや、恐竜やアンモナイト、魚類や貝類など多数の化石、そして世界中から集めた化石コレクションを一堂に展示しています。
中でも、ジュラ紀の肉食恐竜「アロサウルス」と草食恐竜「カンプトサウルス」の巨大な復元骨格(上記写真)や、クビナガリュウの全身骨格は迫力があっておすすめ!
もちろん、先ほど紹介した駐車場にあるディプロドクスの実物大復元模型(通称でぃぷろん)も信州新町化石博物館を代表する展示の一つです。

その多種多様な化石の展示と、迫力満点の巨大な復元骨格の数々は、まさに「化石図鑑」です。

さらに、信州新町化石博物館は「信州新町美術館」と「有島生馬記念館」が併設されており、化石だけではなく多くの絵画や美術品も楽しめます。
化石に興味のある方も、あまり興味のない方も楽しめるよう工夫されている総合博物館です。
信州新町化石博物館は、入口で入館料を支払えば併設されている信州新町美術館と有島生馬記念館も鑑賞可能です。
ただ、信州新町美術館と有島生馬記念館は撮影禁止なので、今回紹介していません。

このブログが有名になれば、特別に撮影許可が下りるかも…(笑)
信州新町化石博物館の基本情報(料金・営業時間・定休日など)
| 住所 | 〒381-2404 長野市信州新町上条88-3 |
| 電話番号 | 026-262-3500 |
| 営業時間 | 9:00~16:30(入場は16:00まで) |
| 休館日 | 毎週月曜日 祝休日の翌日 ※月曜日が祝休日の場合はその翌日が休館日 年末年始 |
| 入館料 | 一般(高校生以上):500 円 高校生:300 円 小中学生:200円 ※毎週土曜日・こどもの日(5月5日)は小中学生は無料 ※敬老の日・博物館開館記念日(秋分の日)・文化の日は全員無料 |
| 駐車場 | あり |
| 所要時間 | 60分~120分 |
信州新町化石博物館の料金は一般が500円、高校生は300円、小中学生が200円です。博物館系としてはややお高めですが、それ以上の価値はあると思います。
見て回るのにかかる所要時間は、信州新町化石博物館だけであれば60分程度、信州新町美術館と有島生馬記念館もじっくり見れば120分くらいです。
なお、信州新町化石博物館は、「毎週土曜日」「5が月5日(こどもの日)」は小中学生無料で、「敬老の日」「博物館開館記念日(秋分の日)」「文化の日」はなんと全員入館料無料です。
信州新町化石博物館(と他の美術館も)の休館日は、毎週月曜日と年末年始ですが、祝日の翌日も休みとなっています。

信州新町化石博物館公式ウェブサイト(shinmachi-museum)
ちょっとわかりにくいので、事前に信州新町化石博物館の公式ウェブサイトで調べてから行くと確実です。
信州新町化石博物館へのアクセス・駐車場情報
信州新町化石博物館は、長野市信州新町の国道19号沿い、信州新町の「新町病院」の道向かいです。
19号を走って行けば、見落とすことは無いでしょう。

もちろん目印はド派手なカラーの恐竜、ディプロドクスの「でぃぷろん」です。
駐車場は、このでぃぷろんのいる場所と、少し離れた場所にある正面入り口の前に無料駐車場があります。
信州新町化石博物館を楽しむための注意点
信州新町化石博物館に行く際の注意点を解説します。
恐竜がいる駐車場に騙されるな!

信州新町化石博物館に初めて訪れる人の9割、いやほぼ100%の人が駐車場で騙されます。
というのも、おそらくほぼ全員がド派手なディプロドクスの模型がある駐車場に車を停めると思います。
この場所も間違いなく信州新町化石博物館の駐車場ではあるのですが…

目の前にある信州新町化石博物館の入口は封鎖されています。

実は、少し離れた場所にある信州新町美術館の入口から入り、信州新町美術館を通り抜けないと信州新町化石博物館には行けません。

なので、ディプロドクスのいる駐車場に停めてしまうと、駐車場から100mほど歩かされます。
上記の写真の奥に「信州新町美術館・有島生馬記念館」の看板が見えると思いますが、そこを左に曲がれば信州新町美術館・有島生馬記念館・化石博物館の入口と駐車場があります。

というわけで、車を停める際はこちらの美術館前の駐車場に停めたほうが便利です。
ただ、こちらの駐車場はそう大きなスペースはないので、混雑時は恐竜のいる駐車場に停めてください。
化石博物館以外は撮影禁止だよ!

あと、信州新町化石博物館は、事前に確認したところ自由に撮影OKとのことでしたが、当然ながら信州新町美術館と有島生馬記念館の作品は撮影禁止です。

3つの施設が混在しているため、「写真撮影OKなところ」「写真撮影NGなところ」はきちんと区別しましょう。
信州新町化石博物館を散策!

信州新町化石博物館に行くには、信州新町美術館の入口を通って化石博物館まで通り抜けなくてはいけません。
入館料を払えば、化石博物館も美術館も楽しめるのでぜひ寄って行ってください。
信州新町美術館内には、著名な画家や版画家の作品が数多く展示されています。
- 栗原信(くりはらしん)
- 赤城泰舒(あかぎやすのぶ)
- 小泉癸巳男(こいずみきしお)
- 横井弘三(よこいこうぞう)
- 青山杉雨(あおやまさんう)
有名な方々ばかりです。
ええ、非常に有名な。
もう、素晴らしく有名な。
…
( ゚Д゚)(ごめんなさい全員初めて聞きました)
これらの絵画作品は撮影不可のため紹介できませんが、素晴らしい作品ばかりでした。
また、絵画の展示以外にも期間限定のイベントが行われている場合もあります。

この日はハワイアンキルトの展示会をやっていました。

信州新町美術館を通り抜けると、渡り廊下が見えてきます。
途中、有島生馬記念館があるのでこちらもぜひ見ていってください。
有島生馬(ありしま いくま)氏は、志賀直哉や児島喜久雄とも交流のあった小説家で、画家としての顔も持っていた人物です。
赤ともピンクともとれる鮮やかなこの建物は、神奈川県の鎌倉にあった有島生馬の住居を移築したもので、現在内部では生馬の絵や遺品を展示しています。

展示物は、当然ながら撮影不可なので紹介できません…( ;∀;)

展示物は撮影できませんが、有島生馬記念館の2階にある休憩室や休憩室から見える景色は問題ないと思うので、せめてここだけでも紹介します。
2階の休憩室からは、エメラルドグリーン色の美しい犀川が見えます。
ここから見える犀川のやや右側、堰き止められた場所は有島生馬が「琅鶴湖(ろうかくこ)」と名付けたダム湖だそうです。
( ゚Д゚)(どこらへんだろう…)
初見では、すべて川にしか見えません。
有島生馬から見える景色を動画でどうぞ!

さて、そろそろ本日の目的である化石博物館へ向かいましょう。
有島生馬記念館の横を通り、さらに奥へ進みます。

ここが信州新町化石博物館の入り口です。

信州新町化石博物館は、主に5つのエリアに分かれています。
- 恐竜模型展示室
- 企画展示室
- フォッシルラボ
- フォッシルワールド
- 休憩スペース
恐竜模型展示室には恐竜フィギュアがいっぱい!

恐竜模型展示室は入口入ってすぐ左にある小さなエリアですが、たくさんの恐竜フィギュアが置いてあり、恐竜好きにはたまらないエリアです。

スティラコサウルスの頭蓋骨の模型と、ティラノサウルスの模型。

ラテン語で「とげのあるトカゲ」のという名前の「スティラコサウルス」は、全長約5m前後、体重3tと推定されている角竜で、名前の通り派手な角と立派なフリルが特徴です。

人気恐竜のフィギュアたち。

人気恐竜のフィギュアたち2。

人気恐竜のフィギュアたち3&骨格模型。

なんか、ガチャコーナーみたいw
季節や期間ごとに展示内容が変わる企画展示室

企画展示室は、期間限定で展示内容が変わるコーナーです。
この日は春季企画展で、「信州新町周辺のクジラ化石」でした。

信州新町周辺で見つかったクジラや、貝類の化石を展示しています。

言っちゃあれですが…ちょっと地味です。
大事な展示ですし、学術的な価値は高いと思うのですが…盛り上がれるかというと…ちょっとパンチが弱いのは否めない。(笑)

「シガラミサルボウの密集層」。
人生数十年生きてきましたが、一度も聞いたことがない単語です。

クジラのフィギュアとヒゲ。
今回の企画展示は、ちょっとコアなファン向けというか、マニア向けですね。
化石について映像で学べるフォッシルラボ

フォッシルラボ(化石の研究室)は、化石のクリーニングや信州新町の地層、また信州新町周辺で見つかったクジラの化石について映像で学べるコーナーです。
フォッシルワールドの前に、フォッシルラボで知識を学んでおくとこの後の化石展示がより楽しめると思います。
( ゚Д゚)(まあ…僕は見ませんでしたが)

というのも、正直映像が長い。

映像は以下の4種類です。
- フォッシルラボにようこそ!(約7分)
- 化石って何?(約6分)
- 信州新町で見られる地層(約6分)
- ひれあし類の化石(約6分)
興味のある映像の実見ても良いですし、時間があればじっくり楽しんでも良いと思います。

なお、好きな映像を選んで再生できますが、一度再生するとスキップとかはできないので注意。
圧倒的なボリュームのメイン展示コーナーフォッシルワールド

信州化石博物館のメイン展示エリア、フォッシルワールドの入り口です。
フォッシルワールドは、こんな感じになっています。
狭く感じますが、展示内容は充実していて個人的にはかなり楽しめました。

1938年に信州新町の穂刈周辺で発見されたセミクジラの化石です。
調査の結果、セミクジラ属の新種で、さらにセミクジラ属としては世界最古の化石記録であることが分かり、「シンシュウセミクジラ」と命名されました。
1979年には長野県天然記念物に指定されています。

アロサウルスとカンプトサウルスの骨格標本。
アロサウルス(ラテン語で「異なったトカゲ」)は、ジュラ紀を代表する大型の肉食恐竜です。スピードに長けた恐竜で、鋭いかぎ爪と鋭い牙で捕食していたとされています。
カンプトサウルス(ラテン語で曲がったトカゲ)は、クチバシを持つ小型の草食竜です。

アロサウルスがカンプトサウルスを捕食したシーンを再現しています。
非常に大きく見ごたえがあるので、写真撮るならここ。

約420万年前に生息していたセイウチの仲間「オントケトゥス」と、現在のセイウチの標本です。
頭部はなんとなく似ていますが、牙の長さが異なっています。

上を見上げると、巨大なクビナガリュウの全身骨格模型があります。
間違いやすいのですが、クビナガリュウは恐竜ではなく爬虫類の仲間です。

異常巻きアンモナイトの化石。
異常巻きとは、異常な個体のアンモナイトという意味ではなく、特殊な巻き方をするよう進化したアンモナイトの種類を指します。

こちらはみなさんが良く知るアンモナイト。
やっぱりアンモナイトと言えばこれですよね。

古生代の化石。
古生代とは、5.4億年前~2.5億年前の「カンブリア紀」「オルドビス紀」「シルル紀」「デボン紀」「石炭紀」「ベルム紀」を指します。

カンブリア紀とオルドビス紀の化石。
聞いたことのない生き物ばかりですが、ぎりぎり「アノマロカリス」は聞いたことがあります。

なぜなら、先ほど化石博物館内にある「いにしえのいきものガチャ」を回したところ、ちょうどアノマロカリスが出たからです。
( ;∀;)(サカバンバスピスが欲しかった…)
僕は、ガチャは1回しか回さない派です。
( ー`дー´)キリッ

欲しいものが出るまで回すのはキリがないので、1回目で出たやつが運命の子だとと思うようにしています。

シルル紀とデボン紀の化石。
やはり聞いたことない生き物ばかりですが、「三葉虫」と言えば聞いたことがある人もいるはず。

歯や顎の化石、クジラヒゲ類。

世界最古のアシカ科の化石。

生きた化石カブトガニの化石。
カブトガニは、2億年ほど前からほとんど姿を変えず現在も生息している生き物で、小学生の人気者です。

貝類の化石。

雑食や草食動物の歯の化石。

小さな化石をルーペで拡大して観察できるコーナーです。

絶滅動物のアイドル、みんな大好きスミロドン。いわゆるサーベルタイガーです。
この牙、強力な武器かと思いきや、現代のトラやライオンの牙ほどの強度がなく、意外と折損しやすかったそうです。

牙が片方折れた個体もかっこよさそうですが


貝類の化石展示コーナー。

好きな人は好きだと思います。
つまり僕は興味が…げふんげふん。

アンモナイト。
左上の化石は、集合体恐怖症の人は直視できないと思います。

小学校の教科書に載っていた始祖鳥。
と言っても僕が教科書を読んだのは数十年前なので、いまの教科書に載っているかどうかは知りません。

ディノニクス(ラテン語で「恐ろしい爪」)の化石。
その名の通り、四肢に付いている鋭い爪で狩猟していたと考えられています。

恐竜の卵の化石とアロサウルスの爪(レプリカ)。
卵は意外と小さいですね。ダチョウの卵くらいを想像していました。

アンモナイトの化石に直接触れます。

エドモントサウルスの化石に直接触れます。
エドモントサウルスは、全長13mにもなる草食恐竜です。
恐竜の中では比較的長く生き残った種であり、最終進化形とも言われています。
休憩スペース

信州化石博物館の奥には、美しい犀川と信州新町の景色が見られる休憩スペースもあります。

休憩スペースにも、いくつか展示があります。

長野市大岡で見つかったナガスクジラの化石。

250万年~70万年前に日本各地に住んでいた高さ2mほどの小型のゾウ、アケボノゾウの牙。

そして、休憩スペースの目玉展示は何と言ってもこれ。
恐竜の代名詞、ティラノサウルスの頭蓋骨を実物大で復元した模型です。
こんな生き物と同じ時代にいなくて良かった…(笑)
冗談抜きで丸飲みされる可能性があります。

鉱物や鉱石の展示。
なんで化石博物館に鉱物が…と思いましたが、長い時間かけて形成される鉱物は、ある意味金属の化石と言えるかもしれません。

綺麗なシトリンとアメシスト。
こんなの掘り当てたら大金持ちですね( *´艸`)
長野県のお隣新潟県には「ヒスイ海岸」という場所があり、その名の通りヒスイが採れます。若い頃、欲に目が眩んで探しに行って大量のキツネ石を拾ったことを思い出しました。

キツネ石は、翡翠に似た緑色の石で、よく翡翠と間違えて採取される。価値はほぼない。「狐に化かされる」という意味でキツネ石と呼ばれているそうです。
まとめ:信州新町化石博物館は、充実した展示で大人も子供も楽しめる!
というわけで、今回は長野市信州新町にある信州新町化石博物館を紹介しました。
山の中にある小さな化石博物館だと甘く見ていましたが、実際に訪れてみると思った以上に充実した展示内容で驚きました。
人もそんなに多くないのでゆっくり見られますし、化石のついでに絵画も楽しめるお得な博物館です。
信州新町の名物であるジンギスカンや信州そばを食べに来るついでに、フラッと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
このブログでは、このほかにも長野県内の古代のロマンを感じられる博物館・資料館や遺跡をたくさん紹介しています。以下の記事もぜひ読んでみてください。
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