今回は、長野県小布施町にある「日本のあかり博物館」を紹介します。
その名の通り、江戸時代の提灯(ちょうちん)、行灯(あんどん)から近代のランプまで、「灯り(あかり)」に特化した博物館です。
小布施と言えば栗や北斎館が有名ですが…個人的には日本のあかり博物館もぜひ寄ってほしいと思ったので今回記事にしました。
正直、お世辞にもめちゃくちゃ楽しいとは言えませんが、激渋なまさに大人のための博物館です。さらに、小布施の雰囲気もありなんとなくほっとする博物館です。
日本のあかり博物館は灯りの歴史を辿れる博物館

日本のあかり博物館は、日本の伝統的な灯火具(とうかぐ)コレクターであり、日本のあかり博物館初代館長「金箱正美(かねばこ まさみ)」氏の膨大なコレクションを展示した施設です。
そのコレクションのうち、963点が国の重要有形民俗文化財に指定されています。
この貴重なコレクションの公開、そして後世に伝える目的で1982年に日本初の灯火具専門館として日本のあかり博物館はオープンしました。
灯火具専門館だけあり、館内には所狭しと灯火具が展示されています。
ちなみに灯火具とはその名の通り、あんどん・ちょうちん・ろうそく・ランプ・ガス灯といった、「なにかを燃やして夜や暗い場所を明るく灯す道具全般」を指します。

なお、現代の蛍光灯や電球は火を使わないので灯火具とは言わず、「照明器具」という分類になります。

館内には時代劇やアニメなどでおなじみの提灯やガス灯、無尽灯、そしておそらく99.9%の人が見たことも聞いたこともない「ねずみ短檠(たんけい)」なんて珍しい灯火具までありました。
江戸時代の行灯と現代の照明の明るさを比較するコーナーもあって、意外と(?)楽しめる博物館です。

「めちゃくちゃ楽しい!」ではなく、「へえ~」と思わず唸る、渋さ100%大人のための博物館です。
日本のあかり博物館の基本情報(入館料・営業時間・定休日など)
日本のあかり博物館は、竹風堂をはじめ小布施堂、桜井甘精堂といった栗菓子の名店が立ち並ぶ小布施町の中心地、観光のメインエリアにあります。
休日や秋の栗シーズンに行くと

(うわあ…めっちゃ人おるやん…ダル…)
と、絶対みんなが感じるあのエリアです。

メインエリアにある竹風堂さんを曲がれば、駐車場と日本のあかり博物館が見えてきます。
水曜日は休館日なので、平日ゆっくり訪れようと思っている方は要注意。
まあ…日本のあかり博物館は常に空いてますけどね!(暴言)
というのはさすがに言いすぎですが、秋やGWの行楽シーズンでもない限り、休日でも意外とゆっくり見られると思います。

ええ、この通り日曜日なのにめっちゃ空いてます。(しつこい)
見学にかかる所要時間は…まあ…よほど灯りが好きな方でない限り30分程度かな…と。
普通の人がここで1時間も2時間も滞在するのは厳しいと思います。
※あくまでも筆者の超個人的な感想です
駐車場と館内の撮影に関して若干複雑なので、この後で詳しく説明します。
ペットは残念ながら、(というか当然ながら)入館不可です。愛犬と一緒に来た人は、別の場所で楽しんでください。

小布施町は、ドッグランのある「オアシスおぶせ」や、ペット同伴可能なカフェも多く、ワンちゃん連れの方にも優しい街です。
日本のあかり博物館見学時の注意点
日本のあかり博物館見学時の注意点です。
駐車場は、目の前にある竹風堂さんの駐車場を利用しよう

車で来た方は、日本のあかり博物館と竹風堂の間にある駐車場を利用しましょう。
日本のあかり博物館入館者は、この駐車場に停めると2時間無料です。
駐車場を利用する際は、忘れずに駐車券を館内に持って行ってください。
日本のあかり博物館は、よほどの灯火具マニアでもない限りゆっくり楽しんでも30分~1時間程度なので、駐車場代が1時間分くらい浮きます。

小布施周辺の駐車場は割といいお値段なので、駐車料金が浮くのは正直助かる。
館内の撮影には申請が必要!でも手続きは簡単

日本のあかり博物館は館内のほとんどが撮影NGで、唯一2階の展示室のみ撮影可能です。
ただし、受付で撮影許可申請をすれば撮影NGエリアも撮影可能になります。
写真をSNSやブログに載せたい方は、必ず撮影許可申請を行ってください。
撮影許可というとなんか物々しい感じで委縮しちゃいますが、住所氏名と目的を書くだけの簡単な記入ですし、不許可になることはまずありません。

なんせ、こんな怪しいブログを書いているHIROさんが1mmも疑われずに申請通ったくらいなので(笑)

なので、怖がらずに「撮影許可ください」と言ってみてください。
申請が終わると「撮影許可済」と書かれた腕章を渡されるので、腕に通すなり見える場所に着けておくなりしておきましょう。

どうでもいいですが、腕章を着けるとなんか記者にでもなったような気分でテンションが上がります。
日本のあかり博物館を見学
では、日本のあかり博物館を紹介していきますね。

まず、見落としがちですが日本のあかり博物館の入り口の近くに謎のカブトムシオブジェと「中野土びな館」があるので忘れず見ていきましょう。

カブトムシオブジェの奥にある「中野土びな館」は無料で見学でき、中には土びな(土雛、土人形とも)がたくさん飾られてます。
土びなは、粘土を焼いて色を付けた素朴な人形で、お隣の中野市が全国的にも有名です。
もし、土びなや土人形が気に入ったら中野市にある「日本土人形資料館」も訪れてみてください。
実際に僕も取材して記事にしていますが、全国各地の土人形をたくさん見られる全国的にも珍しい博物館です。
いきなり行っても良いですが、どんなところか知りたい方は以下の記事も読んでみてください。


こちらが日本のあかり博物館の入口です。

入口には受付とミュージアムショップ(売店)があります。
まずは受付で入館料を支払って、必要であれば撮影許可申請を記入してください。


ミュージアムショップでは、灯りの博物館らしくキャンドルやマッチ、オイルランプなどが売っています。
…まあ、買っていっても一般家庭では困るようなラインナップが多いですが、見ているだけでも楽しいです。
火を使うランプはロマンがありますが、やはり使い方というか使い時が難しいので…焚火風ライトが現実的かなあ…(笑)
息を吹きかけると火が強くなる仕掛けの楽しいライトです。

奥へ進むと展示室が見えてきます。

最も原始的な灯り、焚き木(薪)を燃やす灯火具。
木を燃やす、というのは最も非効率な照明方法で、「木」という物質を燃やした際に発生するエネルギーの99%が「熱」に変換されてしまい、明かりとしてのエネルギーはわずか1%なんだそうです。
ただ、これは単純に「照明器具」として考えた場合です。
この時代の人たちは、焚火を単純な明かりとして以外にも暖を取ったり、調理、獣除けなどにも使っていたので、資源や技術が限られている時代においては非常に効率的なシステムだったと思われます。

時代は進み、木を燃やす代わりに灯明皿(とうみょうざら)とか行灯(あんどん)とか、提灯(ちょうちん)といった「油」を燃やす灯火具が登場しました。
物を燃やすというシステム自体は同じですが、木を燃やすのに比べて「燃料を凝縮し、火を長時間制御できるようにした」という点で革命的な灯火具です。

この灯火具に使われていた油ですが、世知辛いことに格差がありました。
- お金持ち=匂いもよく煤(スス)も出ない「菜種油」
- 中流家庭=比較的安価で安定している「綿実油」
- 貧乏な家庭や地方の農村=煤だらけになるうえに生臭い「魚油」
HIROさんがこの時代に生きていたら、魚油を使っていたに違いない…

江戸時代の灯火具、「鼠短檠(ねずみたんけい)」。
短檠(たんけい)とは、高い台の上に油と燃やす芯を乗せた灯火具で、その先端にネズミ型の陶器を取り付けたものがこの鼠短檠です。
このネズミの置物は飾りではなく「油タンク」になっていて、空気圧を利用して自動的にネズミ型タンクから油を給油する仕組みになっています。
つまり、「全自動給油機搭載型灯火具」です。
細かい原理の話は難しくなるので割愛しますが、いまで言うコーヒーのサイフォンの原理を利用しています。

タンクをネズミにした理由ですが、江戸時代ネズミは油を舐める生き物とされていたので、そこから来た嫌味というか皮肉というかユーモアというか。
いずれにしても鼠短檠は、シンプルな仕組みで手間も燃料もかからず長時間明かりを継続することができる優れた発明品です。

こちらは無尽灯(むじんとう)です。
「無尽(尽きることがない)」の名の通り、一度起動すれば自動的に油を継ぎ足すため、油切れや給油の手間が不要で朝まで一定の光を灯し続けます。
江戸時代後期の技術者「大野弁吉」や「田中久重」が、当時西洋にあったアルガン灯やカルセルランプを参考に作った革命的なランプで、当時最高の発明の1つとも言われています。
展示室の動画もどうぞ。

次の展示室です。

燭台(しょくだい)、つまり「ロウソク立て」が展示されています。
先端に針があって、そこにろうそくを突き刺して固定します。
燭台にもいろいろなデザインがあり、中には「真面目にやれ」と言いたくなるようなユニークな燭台もありますね。

ランプコーナー。
いまさらですが、ランプとは「光を出す装置全般」を指します。
つまり、オイル・ガス・アルコールなどを燃やすのもランプですし、LEDなどの電球使ったものもランプです。

明治から大正にかけて使われたランプで、主に家庭で使われていたサイズです。
この頃になると、単なる「明かり」としてではなくカラフルで形も複雑と、オシャレさも追及されています。

本物のフグを使った「ふぐちょうちん(河豚提灯)」。
ふぐ(河豚)は「ふく(福)」とも言われ、縁起物として大切にされてきました。
そんな河豚を提灯にした、河豚に対するリスペクトがあるんだかないんだか不明な伝統工芸品。
この展示室の動画もどうぞ。

1階展示室の奥にもスペースがあり、ここでは期間ごとに内容が変わる特別展示が行われています。
この日は「川村忠晴 葉っぱのあかり」でした。
このスペースの一番奥では、「昔の灯りと現代の灯りの比較ができる体験コーナー」があり、かなり面白い内容だったので動画撮影してきました。
ちょっと長いですが、楽しいのでぜひ見てください。
昔の人はこんな明るさで夜を過ごしていたと考えると、現代の電気のありがたさを実感します。

最後の展示室、2階へ向かいます。

2階も期間ごとに展示内容を変えているようで、この日は企画展「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」が開催されていました。
おそらく谷崎潤一郎氏の名著「陰翳礼讃」からきているんだと思います。
陰翳礼讃は、西洋が明るさを追求する文化なのに対し、日本は「ほの暗さ」「光と影のコントラスト」といった「暗さ」にも美を見出したことを礼讃した作品です。
まさに日本の灯りの歴史にふさわしいタイトルだと思います。

ちなみに、この2階は申請なしで撮影可能です。

ぼんぼり・行灯・提灯です。
ちなみにそれぞれの違いですが、提灯は主に竹や紙製で、折りたたみ可能&取っ手やフック付きで携行可能な、いまで言う懐中電灯的な役割でした。
行灯は木枠と紙でできた灯りで、家の決められた場所に置いて使う間接照明、フロアランプやデスクライト的なものです。
ぼんぼりはろうそく立ての先端にちょうちんや行灯をつけたような灯火具で、ひな祭りなどの神事で装飾用として使われていました。

行灯の中に入れて使われていた「ひょうそく」。
油と火を点ける芯が入っていて、ひょうそくに火を付けたら、風で火が消えないよう行灯でカバーをしていました。
要はいまで言う「電球」の役割です。

実用性とデザイン性の高い陶製燭台。
陶器製だとロウが垂れても後始末しやすく、手入れが楽なうえに見た目も綺麗。

奥のコーナーにはランプ類が展示されています。

夜の風呂場に置いたり、勉強する際に使われた非常に小さい豆ランプ。
小さい分構造が単純なため安価で買えました。
しかも使う石油の量も非常に少なかったことから、特にお金のない学生が夜遅くまで勉強する際に重宝したそうです。
実はこの豆ランプは日本で考案されたのですが、確かにめちゃくちゃ日本人らしい発想の製品だと思います。
2階の動画です。
まとめ:日本のあかり博物館はとにかく渋かった…(笑)

日本のあかり博物館は、刺激的な展示や楽しい体験があるわけじゃなく、ただただ灯火具が並ぶ一見すると地味な博物館です。
ただ、灯火具や照明一つ一つにも先人の知恵や工夫、当時の時代背景が隠されていて事前にある程度知識を入れてから行くと実はけっこう楽しめます。
灯りや照明専門の博物館って実は全国的に見てもかなり珍しいので、小布施に来たらぜひ一度日本のあかり博物館を訪れてみてください。

小布施と言えば、やっぱり栗の町。日本のあかり博物館のついでに、小布施が誇る栗スイーツや栗菓子もぜひ味わってみてください。
このブログでは、日本のあかり博物館以外にも県内のさまざまな博物館を紹介していますので、以下の記事もぜひチェックしてみてください。


小布施町宿泊情報
小布施で宿泊するなら、「あけびの湯」や「ゲストハウス小布施」がおすすめです。
あけびの湯は日帰り入浴や宿泊ができる温泉宿で、露天風呂からは小布施町と北信五岳を一望できます。
場所自体も小布施のはずれ、ものすごく静かなところにあるので落ち着いて過ごせる宿です。
楽天トラベルで小布施温泉あけびの湯の料金や空室情報・料理・雰囲気をチェックする
ゲストハウス小布施は、江戸時代からある古民家と土蔵を活かした3室限定の宿で、中は現代風にリノベーションされていて快適に過ごせる宿です。
小布施のど真ん中、メインストリートのすぐそばにあるので、時間いっぱい小布施を満喫したらすぐに宿泊でき、そして起きてすぐ小布施を歩き回れます。
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小布施町は宿泊施設が少なく、あってもゲストハウスややや高級な宿泊施設が多いので、リーズナブルに泊まりたい方は隣の須坂や中野のビジネスホテルを利用してもいいと思います。
